バイオ後続品(バイオシミラー)を巡る訴訟はたくさんありますよね。

そのなかでも、以前から注目していた訴訟が「請求放棄」という形で終わりました。

 

中外製薬(及びロシュ・グループのジェネンテック社。中外製薬は日本の専用実施権者という立ち位置です。)が、昨年9月に、ハーセプチンの乳がん関連の用途特許を侵害する虞があるとして、日本化薬株式会社(ハーセプチンのバイオ後続品の製造販売承認を申請していた)に対し差止請求訴訟及び仮処分の申請をしていました。

 

日本化薬がトラスツズマブ(そもそもハーセプチンって、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)」を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。)BS点滴静注用60mg「NK」及び同150mg「NK」の開発をする行為は特許権侵害の危険性があるというわけです。

 

・・・が、一昨日(4月11日)になって、当該請求を放棄すると発表しました。

 

何でよ?!って思いますよね?

 

え?思わない?

 

けど理由は知りたい?

 

 

ですよね!(強引)

 

 

その理由というのは、

差止請求をした段階では、日本化薬のバイオシミラーはまだ承認されていなかったのですが、3月になって製造販売が承認され、そのバイオシミラーの効能・効果が「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌」のみで、「HER2過剰発現が確認された乳癌」は含まないことがわかったためです。

 

言い換えると、特許権を侵害する可能生はないと判断されたことから、請求の利益はないと考えて請求を放棄したと考えられます。

用途が違うんだから特許権の侵害にならないし、侵害にならないんだったら、請求してもしょうもないもんね。

 

バイオ医薬品って作るのも大変です(お金もすごくかかる)し、特許も複雑です。

ですから、バイオ後続品(バイオシミラー)の販売は強く望まれます。

 

しかし、バイオ医薬品の特許を持っている会社からしてみれば、バイオ後続品を作られるのは、あまり嬉しいことでありません。

 

そのため、バイオ医薬品の特許を保有している会社がバイオ後続品の製造販売会社に対し訴訟を起こすということはよく行われます。

 

これからも、このような特許権侵害訴訟は頻繁に起こるでしょう。

特許権者は外国企業で日本の会社は専用実施権者という立場でしょうが・・・。