*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

人間には「◯◯してはいけない」と禁止されると自由を回復するためにその禁止をあえて破るという心理があります。

これを心理学用語でカリギュラ効果といいます。

過激すぎるので上映禁止になった「カリギュラ」という映画を見るために人々が殺到したことから有名になった言葉です。

 

伝説やおとぎ話のなかにもカリギュラ効果の例は枚挙に暇がありません。

 

たとえば、「絶対に中を除いてはいけません」と言われていたのに鶴が機織りをしている姿を見てしまった「鶴の恩返し」。「絶対に後ろを振り返ってはいけません」と言われたのに振り返ってしまったイザナミ。「絶対に蓋を開けてはいけません」と言われていたのに蓋をあけてしまった浦島太郎・・・。

 

したがって、禁止されると、メリットも必要もないのに破りたくなるというのは人間の本能のようなものだと思われます。

 

ですから、これを逆に利用してしまえば他人を自分の期待通りに動かすことができます。

 

たとえば、あなたが会社の営業で、ある商品を売らなければいけなかったとします。

 

その場合に「これは最高の商品ですよ。お勧めです!買わなきゃ損です!」と熱弁を振るってもお客様は冷めてしまうでしょう。

 

しかし、逆に「このダイエット器具は確かに効果はあるのですが、使い方を誤ると痩せすぎてしまいます。そのため全てのお客様にお勧めできる製品ではありません。」と言うと、「じゃあ、使ってみたい!私なら使いこなせる」といって飛びついてくるお客様が出てきます。

 

ドモホルンリンクルのCMなんてそうですよね。

 

「ドモホルンリンクルは初めてのお客様にはお売りできません」というキャッチコピーにより、品質に自信を持っているんだなとか売ってもらえるようになるにはこちらがしっかりしないといけないんだなと思うことでしょう(最近のお客様は賢いのでもはやこういったキャッチコピーは古いし、SNSで商品の実体を暴露されてしまうので本当に良い商品を売っていない限りあまり効果的とは言えませんが)。
古典的ですが、まだまだ使えるマーケティングの手段ではあると思います。

 

このように「禁止されると反対のことをしたくなってしまう」という人間の心理はいろいろなことに応用出来ると思います。

 

子供が勉強しなかったら、「勉強しろ!」というのではなく、「勉強するな!」と言うといいでしょう。

実際には「勉強するな!」だけなら「やったー!」となるだけなので、言い方には注意をする必要があります。

親の部屋にこっそりと勉強の本を隠しておいて「勝手に本を見るな!」と言って出かけると良いかもしれません(笑)。

 

痩せたかったら「間食するな!」ではなくて、「もっと食え!」と自分に言いましょう。
もちろんこの場合もただ単に「もっと食べろ!」だけではいけません。

 

夫の浮気に悩んでいたら、「浮気しないで!」じゃなくて、「ぜひ浮気して!」と伝えましょう。
まあ、この場合は「本当に自分が望んでいるものは何か」という問題があるので、「夫の心を取り戻したい」のか「夫とサッサと別れてお金だけほしい」のかによって取るべき態度は変わってきますが。
勝負に勝って、愛を失う、とかバカバカしいですからね。
口先だけでも「悔しいけど、だれよりもあなたを愛しているの!」といって表面的には負けてしまえば、結果として望むもの=幸せ又はお金 が手に入るでしょう。

 

さて、ここまで人間の「禁止されると破りたくなる」という心理の例について語ってきましたが、「本当にやめて欲しいとき」にはどうしたらよいのでしょう。

 

たとえば、鬱で落ち込んでいる人に対して、「あまり落ち込むなよ」といった所で、逆にストレスを貯めてしまうだけであまり効果はないでしょう。

 

したがってこのような場合には、禁止すらせずに、ただ寄り添う。それだけで良いと思います。

 

営業秘密の流出に悩んでいる会社だったら「会社の情報を外部に持ち出さないように」という決まりを伝えるだけではだめです。

 

契約書にそう明記し、サインをしてもらわなければなりません。
さすがに「営業秘密の持ち出しOK」と言ってしまっては本当に持ちだされてしまうのでいけません。

 

ところで、利害関係のある他人との関係ではこのように契約書にサインをするということで抑止力にしますが、身内など自分同然と思っている大切な人に、「本当に本人のためにならないこと」を止めさせたいときにはどうしたらよいのでしょう。

 

たとえば、小さな我が子が危ない池で遊びたがったり、娘がブランド品を買い漁って浪費ばかりしていたり、夫が酒とギャンブルに溺れているというような状態です。

 

このような場合には、論理的に正しいことを言ったり、契約書にサインをさせるのでは効果がないと思います。

 

したがって、「自分は本当にあなたのことを愛している」ということをまず伝え、それから本人の気持ちになって一緒に苦しんであげればよいと思います。

 

幼い子なら簡単です。危険だけど楽しそうなことをしたいだけですので、もっと楽しくて、興味深くて、でも危険の少ない遊びを教えてあげればいいだけです。

 

浪費家の娘には、何か満たされない空虚さを親の愛で埋めてあげればいいのです。

 

酒とギャンブルは夫は止めたくても止められないのですから、本人もわかりきっていることをうるさく言うよりは男としての責任感を感じさせるとか他の手段を取るべきでしょう。

 

人は、自分を含め、大切な人に論理で説得を試みて止めさせようとしてしまいます。

 

しかし、人間は感情の生き物です。それを理解して、論理的ではなく、感情的に問題解決を図ってみるのも良いのではないでしょうか。

 

おまけ
某新幹線(某も何もないけどw)のトイレに貼ってある注意書きの写真。

DON’t DRINK.(飲まないで下さい) と書いてあるので、見るたびに飲みたくなっている私がいます(笑)。いや、飲まないけど。

Not drinkable.(飲めません)と書いてくれればいいのに・・・といつも思っているのですが。
「日本の手洗いの水は高級水なのかもしれない。だから勿体無くて飲むなと言っているんだな!」と勘違いしてガブガブと汚い水を飲んでしまう外国人がいるかもしれません・・・?