*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。

奈良県の主婦、窪田弘子さん(以下アーティストとしての彼女を尊重し、hirokoと呼びます)が、PAUL&JOE SISTERに著作権を侵害されたために著作権侵害に基づき差し止め請求訴訟を起こしていました。(PAUL&JOE SISTERのサイトには拡大してもわからないほど小さな比較写真しか載っていませんが、hirokoさんのサイトhttp://gogo5hiroko.blog28.fc2.com/blog-entry-410.htmlにはもうちょっと大きな写真が載っています。それを見ると、はっきりと著作権侵害だとわかります)

その裁判が、和解という形で終わってしまいました。

表面的には引き分けですが、悔しいことに実質的には敗北です。

しかし、hirokoさんには和解で我慢をしなくてはいけない理由があります。

 

それは、hirokoさんも著作権侵害をしていたということ。

 

hirokoさんはインターネット検索をして出てきた他人の画像を勝手に使って作品を創っていたようです。

飼い猫の写真でも使っておけば何のしがらみもなく強く主張できたのに・・・。

 

PAUL&JOE SISTERは、hiroko刺繍人気にあやかり似たデザインのものを販売しようとしたところ、法律やビジネスに関して素人のhirokoさんはあろうことか他人の写真の著作権侵害をしていることに気づいた。そこで、その写真の著作権者に問い合わせ、シャツを売り出すOKをもらった。hirokoさんには「あなたは写真家からOKをもらっていないでしょう?」と迫った。というのが全貌のようです。

 

盗人猛々しいですね・・・。
まあ賢いのかもしれませんが、エレガントではないね(-_-;

 

他人の私が悔しい思いをしています。
日本において、いえ、世界中で力を持たない個人は企業から軽く見られているんだということを改めて感じました。

 

同時に義務教育の段階で知的財産権法の知識を教育する必要性を改めて感じました。hirokoさんは確かに被害者ではありますが、加害者でもあるので、加害者である以上、あれだけ素晴らしい作品を創っても「著作権侵害者」でしかないからです。
勿体ないです!

hirokoさんは軽い気持ちで何も知らずに猫の写真を使ったのでしょうし、そんなことをしている人はいくらでもいそうですが、著作権侵害なんですよ!

のちに作品の人気が出ても、その事実は変わらないんです。

 

それにしても、そんな無知につけこんだP&J SISTERのやり口は汚いです。

 

立場的に「個人発明家」や「アマチュアアーティスト」は馬鹿にされやすい職業です。
(有名になれば途端に尊敬の対象となりますが)
 

たとえば、法律に明るくない個人発明家が企業に発明を売り込みにいっても薄ら笑いを浮かべて断られるだけです。
良い発明だった場合でも、発明を盗まれて素知らぬ顔をされるだけです。

 

弁護士や弁理士に相談しても、企業のクライアントが優先されてしまい、まともに対応してもらえないか、返事があるのは忘れた頃でその頃には被害が取り返しのつかないくらい広がっていたり・・・。

 

弁護士ドットコムで相談しても、返信が遅く、それに不満を漏らしても「嫌ならきちんとお金を払って相談しなさい。それが嫌なら文句を言うな」という態度をとっている弁護士がいますし。

 

個人大歓迎の法律事務所に依頼してみたらぼったくりだったり・・・。

 

世の中は、所詮お金なのか・・・とがっかりしてしまいます。

 

私の知人の弁理士は良い人たちばかりですが、それでも、個人は相手にしたくないと思っている人たちがいるのは事実です。
企業の方が動くお金も大きく、継続的に仕事を貰えますから。

 

冒頭の話に戻りますが、もしhirokoさんが知的財産権法に明るかったら、他人の著作権を侵害することなんて絶対にしないで、オリジナルで勝負し、商標権や意匠権など種々の権利をとり、一財産築けていたはずです。

 

主婦の発明で一攫千金ということばをよく聞きますが、この場合は、主婦のアートで一攫千金ですね。
いずれの場合も知的財産権法に頼らなければお金を稼ぐことはできません。

そして、他者の知的財産権を侵害していたらそれなりの賠償をしなければいけません。

 

また、猫の写真の持ち主に許諾を貰い、Paul&Joeから最初のメールが来た時点で「著作権侵害するな!」とビシッと言っておけば、けん制になったでしょうし、適切な対応が出来ていれば相応のロイヤリティを設定してライセンスできたでしょう(この場合、hirokoさんの刺繍したものを売るのではなく、それを印刷したものを売ることになります。すると数を捌けますから、シャツを一枚3万円で売るよりも儲かります。手作りの温かみや一点ものの希少性はないので、一点ものがほしい人は、ライセンス品ではなく、hiroko作品を購入するという棲み分けが行われます)。

 

この主婦のhirokoさんは、たくさんの注文を受けて、ファンがたくさんできて、忙しいけれどやりがいのある充実した日々をおくっていたと思います。

 

でも、作品の人気が出てきて、それに伴い海賊品も出現して、パクリhirokoシャツなんかも造られて、心を痛めていたら今度はアパレル会社からの馬鹿にした対応・・・。

 

法律を知っている人、お金を持っている企業ばかりが有利で一般個人が守られず嫌な気分を味わうだけなら、法律なんてなければいいのにと思ってしまいます。
(この場合個人も海賊品を創り放題になります。正常な競争が行われなくなりますが、意外といいかもしれません)

ただ、救い(?)なのは、一部でPAUL&JOE SISTER製品の不買運動が起こっていることです。

 

ブランド価値を貶めてしまったので、このような対応はPAUL&JOE SISTER側にとってもデメリットです。

インターネットで簡単に不正がばらされてしまう現代においては、個人に対しても誠実な対応を取ったほうが企業のイメージアップに繋がります。

PAUL&JOE SISTERは小銭を稼いで大金を失っているような気がします。

まあ、だからといってhirokoさんが金銭的に報われることはないんですけどね。

お金なんていいからせめてきちんとした謝罪をしてほしかったところです。

hirokoさんの事案に学び、イラストレーターや写真家の方等は、他社の権利を侵害しないように気を付けるとともに自分の権利を主張できるように頑張ってください。

個人のアーティストや発明家などで、知的財産権法について困っている人は、わかりやすいサイトを創りましたので、ご覧ください。無料で法律について学べます。

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