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著作権保護期間がとうとう70年になるようですね。
実に残念なことです。
日本は「死後50年」を貫いてくれると期待していたのですが・・・。

 

弁護士や弁理士の友人知人に「著作権法改正で保護期間延長ってどうよ?」と聞いたところ、皆口を揃えて「残念だ」といっていました。

約一名、「いや、俺著作権よく知らないし」と言っていた輩もいましたが・・・。
(著作権に興味がある弁護士や弁理士は少数派なので当然の反応です)

 

それはさておき、私としては、著作権の保護期間は、「著作物が公表されてから50年」で十分だと思います。

 

「著作者が死んだら無くなる」という制度でも良いでしょうが、「著作物を利用したいがために著作者を殺す」という面白い(?)事件を誘発してしまいますから・・・。

この奇怪な事件は江戸川コナン君が解決してくれるでしょう。(ところで、江戸川といえば、乱歩の作品はすでにパブリックドメインですが、三島由紀夫なんかはパブリックドメインになるまであと20年以上必要になってしまいます。)

 

閑話休題。

 

政府としては、主要国の著作権制度に合わせたのでしょうが、ここは「日本だけは50年」を貫いてほしいところでした。

基本的に「国際ハーモナイゼーション」(政府がよく使うキーワードです)のため、他国の制度に合わせることは良いことです。

日本だけ制度的に孤立することを防げますし、国際的に採用されている制度は優れていることが多いので。

 

一国だけ特別な制度を採っているといろいろと困ったことが起きます。

 

たとえば、アメリカでは長い間、たった一国だけ「先発明主義(対義語は「先願主義」)」を採っていました。

 

これは、簡単に言うと、特許は先に出願した人にではなく、先に発明した人に与えられるというものです。

これは、発明家のことを考えたら理想的です。

 

しかし、「どうやって自分が一番最初に発明した」ということを証明すれば良いのでしょうか。

証明の偽造などいくらでもできるため、アメリカでは自分が発明したことを主張する人たちの間で裁判が頻発していました。

訴訟社会アメリカでは、弁護士が儲かるので良いのでしょうが、やはり、国際的に考えたら「先発明主義」は裁判の渋滞を引き起こす好ましくない制度なわけです。

「発明者であることを簡単に証明する方法」があれば「先発明主義」はベストですが、そんな方法は無い以上、「先願主義」の方がベターなわけです。

また、途上国では「物質特許」を認めていません。日本も昭和51年特許法改正前までは認められていませんでした。

 

これにより、自国の経済的利益を守れます。
先進国にとっては好ましくない制度ですが、持っているものが少ない国ではそういう制度は自国の利益を守るために好ましいものなのです。

 

しかし、ある程度経済的に潤ってきたら、国際標準に合わせたほうが自国民の発明を守れます。

 

というわけで、「表面的には良さそうに見える制度でも国際標準に合わせたほうが良い」のが基本的だと思います。

 

日本の特許法や意匠法などは国際標準に合わせるために法改正を繰り返してきましたが、どの改正も比較的好ましいものです。

 

ですから、世界中で知的財産権を有するためには制度が統一されている方が良いのですが、著作権法の保護期間については日本だけ50年でも良いと思います。

 

なぜなら、「保護期間を延ばしても日本にとって良いことなんてほとんどない」からです。

 

というよりも、デメリットが大きすぎます。

 

そもそも著作権の保護期間は昔は欧米でもこんなに長いものではありませんでした。

 

それが「ミッキーマウス保護法」と揶揄されるようにディズニーの著作権が切れそうになるたびに著作権法の改正がされてきたという経緯があります。

 

これって、「金で政治家を買った」という黒歴史です・・・。

 

こんな制度に日本は追随する必要なんてありません・・・が、「国際ハーモナイゼーション」の下、仕方ないのでしょう・・・。

 

さて、著作権の保護期間が延長されると他にもデメリットがあります。

 

まず、「文化の発展」を阻害します。

これは、昔の著作物を利用したいときに顕著です。

 

何10年も昔の著作物(例として、Aさんという小説家が20歳のときに書いたデビュー作。Aさんは80歳で亡くなったとして、それから60年経ったとき。ということは、公表から120年後!!)について、著作権者(相続人)が見つからず、どうしてもその著作物の利用をすることができないというとき、著作物を利用したい人はどうすればいいでしょうか。

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著作権法では、他の知的財産権法と同じように裁定制度というものがあります。

これは、権利者不明の著作物等を利用しようと思っても許諾を得ることができない場合に、権利者から許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料に相当する額の「補償金」を供託することにより適法に利用することをできるようにするというものです。

裁定を受ける前には名簿や名鑑の閲覧をする等様々な方法で著作権者を探し出す努力をしなければいけません。著作権等管理事業者や関連する著作権団体への照会や権利者情報を持っていると思われる人に尋ねることもしなくてはいけません。これだけでかなりの日数をとられてしまいます。

120年も前の著作物の権利者なんてそう簡単には見つけられるものではないでしょう。

100年以上前はもう「歴史」ですよね・・・。

 

どれだけ裁定を受けることが大変かご理解いただけると思います。

 

著作権保護期間が死後70年となると、さらに著作権者を探し出すことが難しくなります。

 

これでは「著作権者を探し出すのが大変だからこの作品は使わない」と考える人がたくさん現れてしまいます。
ということは、「文化の発展」を阻害するということです。

 

正当権利者の権利は絶対に守らなければいけません。

しかし、永遠とも思えるほど長い期間守るのは害悪です。

 

大体、100年も前の著作物が著作権者にもたらしてくれる経済的利益など微々たるものです。以下の本に示すようにデータが証明しています。

著作権保護期間―延長は文化を振興するか?
また、日本のコンテンツの国際競争力がアップしてきているとはいえ、国際収支でみると日本は著作権収入はマイナスです。

みんなの大好きな海外ドラマやディズニーアニメ等を見ていればどれだけアメリカが儲けているかは簡単に想像できると思います。

 

我が家では、ほとんどテレビを見ませんが、複数のケーブルテレビに加入しているため、海外ドラマや海外映画はたくさん見ています(ケーブルテレビ複数加入は福田家だけではないはず。私自身は全然見ていないけど夫や子どもたちが見ているのでそれぞれの好みに合わせて違うものに加入してしまうのです。もったいない気はするけど)。

アニメはやはり日本の作品が面白いので日本のものばかり見ていますが、ドラマや映画はほぼ海外のものだけしか見ません。

 

・・・というわけで、著作権の保護期間が50年から70年になっても日本の既得権者は(子孫に財産をたくさん残せるかもしれないので)気分が良いかもしれないけど、日本全体で見るとマイナスにしかなりません。

 

それにしても、特許権や意匠権なんかと比べると、著作権の保護期間って異常に長すぎますね。
死後50年でも長すぎるのに死後70年って一体・・・。

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