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著作権や意匠権、商標権といった知的財産権は財産の一種ですので、売買が出来ます。

この中でも著作権は「権利の束」と呼ばれているように、複数の権利が束となったものです。

したがって、たとえ著作権のうちの一つの権利、例えば複製権(著作権法21条)を売ってしまったとしても他の権利は著作者の元に残りますので、小説の挿絵画家が複製権を売ったとしても、その原画を

展示して原画展を開くことは出来ます。
展示権(著作権法25条)が挿絵画家の元に残っているからです。

 

工場で物を作るのではなく、頭のなかで考えた創作物という知的財産を武器にしたアーティストはそれ自体を貸与したり(ライセンス)他人に複製を許したり著作権を売ったりしてお金を稼ぎます。

 

この場合、知的財産権は実際に手に触れることが出来ないことから、契約の存在が非常に重要になってきます。

 

著作権は自分の手元に残したままロイヤリティを得ることができるので、著作権のライセンスは非常に有効な手段ですが、手っ取り早く一度にまとまったお金が欲しい場合には著作権を譲渡する(売る)ことも考えられます。

 

このように、著作権の売買はビジネス界でよく行われていますが、この著作権には売れる権利と売れない権利があります。

 

まず、売れる権利というのは「著作財産権」と呼ばれるもので、複製権(著作権法21条)や頒布権(著作権法26条)などがあります。

通常「著作権」というときは、この「著作財産権」を指します。

売れない権利というのは、「著作者人格権」と呼ばれ、たとえ著作財産権を売ってしまっても、著作者が亡くなっても(!)著作者の元に残る権利です。

公表権(著作権法18条)氏名表示権(著作権法19条)同一性保持権(著作権法20条)の3つになります。

 

著作者は、たとえ著作(財産)権を売ってしまったとしても、自分の作品が不適切にパロディされたり(たとえば、シリアスな作品なのに下品なお笑いにされた等)人格をきずつけられたと感じた場合には、著作者人格権に基づいて侵害者を訴えることが出来ます。

 

なお、「著作権の全てを譲渡する」という内容の契約を結んだとしても、「その著作物が二次的に利用される場合(たとえば、小説の著作物だったらそれが映画化される等)」に「NO」と言える権利は著作者に残ります(著作権法61条、著作権法27条、28条)。

立場の弱い著作者を保護するためにこのような規定が設けられました。

 

したがって、たとえ契約時によく契約書を読みもせず契約をしてしまったとしても、自分の作品の二次的著作物が創られそれによって利益を得ている時には、その利益の一部を欲しいと交渉することが出来ます。

 

 

しかし、一人でそのような交渉をするのは大変ですから、弁理士や弁護士に助けを求めるべきです。

 

また、最も大事なことは「そのような著作権契約トラブルに巻き込まれないように予防しておく」ことですから、予めこのブログやサイト、メルマガで学習しておくことをお勧めいたします。

 

サイトの文章をコピペして自身のブログに貼り付けることは著作権の侵害になりますが、文章を読んで知識を得ることは適法に無料で出来ます。