ドラえもんにそっくりな商標が中国福建省の機器猫体育用品有限公司(以下、機器猫公司)という企業により2012年に出願され、2015年に商標登録されていました。

 

これに対し、中国でドラえもんのキャラクター使用権を保有する艾影商貿有限公司は2016年に商標登録の無効を求める訴えをしていました。

 

商標審議委員会は登録の無効を宣告しましたが、機器猫公司は「商標はドラえもんではない」と主張し、知的財産権裁判所に訴えていたというわけです。

 

そして、最近(2018年)になって北京市の知的財産権裁判所が「機器猫公司は著作権を侵害している」との判断を下しました。

 

 

こういうニュースを聞くと、「商標権侵害じゃなくて著作権侵害になるの?」と疑問を持つ人がいると思います。
(知的財産権初学者には、ぜひこのような疑問を持って欲しいと思います。)

 

そこで、ちょっと複雑な知的財産権についてご説明したいと思います。

 

ところで、中国の商標法も日本の商標法と似ていることから、日本の商標法に基づいてご説明いたします。

 

 

まず、「他人が著作権を有している著作物について商標登録出願する」ということは、商標法上可能です。

商標は選択物に過ぎませんから。(ただ、商標法4条1項7号「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として出願拒絶される可能性はあります。)

 

ですから、キューピーちゃんに著作権があったとしても、全然関係ない会社がキューピーについて商標登録出願をするということはできます。(リンク先の過去記事で詳しく説明しています)

 

ここで、キューピー人形は元々有名だったのですが、キューピー人形を自社の商標として用い、著名にしたのはキューピー株式会社です。

したがって、キューピー株式会社の商標は出願直後はともかく、現在では商標法により強力に守られています。

 

さて、ここで話を機器猫公司に戻します。

 

「ドラえもん」は日本だけでなく中国でも大人気です。

そのため、ドラえもんの人気にあやかって商標登録を受けたことは容易に想像出来ます。

 

もしも、「商標は選択物だから」という理由でこのような行為が容認されてしまったとしたらどうなるでしょう。

 

ドラえもんと同じように著名なキャラクターを商標として採用する企業が山のように現れることでしょう。

 

すると知的財産権の保護強化を目指す中国としては困ったことになります。

 

中国発の漫画やアニメを売り出したいのに、そのキャラクターを勝手に利用することを許す判決を出してしまっては知財の無法地帯になってしまいます。

 

そんなわけで、北京市知的財産権裁判所による判断は当然のことだったといえるでしょう。

 

かつてとは違い、これからの中国では裁判でこのような判断をされることが増えると思われます。