*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

シンゴジラが好評ですね。豪華キャストの他に、やはり庵野監督の力が大きいのでしょう。

 

さて、今日はメルマガ読者の方からゴジラの著作権関連の質問をいただいたので質問に答えてみようと思います。著作権が気になるアーティストの方に役立つと思うので、個別メールとは別に、ブログの記事にさせてもらいました。
(私の利用しているメルマガ配信は調子が悪く、うまく届かないことが多々あります・・・。個別メールにはすぐに返信しておりますので、メールがこないぞ!と思ったら気楽にご連絡をいただければ、と思います。)

 

質問の事例はどのようなものかというと、質問者様は海外在住の日本人アーティストさんです。
現地では、ゴジラファンのアーティストたちが集まってゴジラをモチーフにしたグループ展を開催。

 

好評だったので別の場所で再度ゴジラ展を開催したいと思案中。

 

しかし、著作権やら知的財産権のことが気になったので質問してみた、とのことです。

 

ここからの解説は日本の著作権法の話をしますが、EU加盟国やアメリカなどはベルヌ条約加盟国であり、フェアユースの規定などはありますが、基本的に著作権法は日本とほとんど変わらないので主に日本の話だけしていきます。

 

まず、映画の著作物の著作権は、公表後70年まで続きます。

つまり、ゴジラは最初に公表されたのが1954年ですから、それから70年というと、2024年ですね。あと8年間は著作権が残っています。

 

したがって、ゴジラを基にした展覧会を開きたい場合には、著作権者である東宝から許可を得ないといけません。つまり、相応の料金を支払って著作権者(および商標権者)である東宝から使用許諾を得る必要があります。

 

過去の裁判例を見ても、東宝の著作権戦略は、ディズニー並に厳しいといえます。

無許可でゴジラ商品を販売したりサービスにゴジラを利用した人や法人は軒並み踏みつけられています。

 

日本人の漫画家では、「どうぞ自由にパロディして♪」という個人がわりと大勢いますが(逆に「パロディは絶対に許さん!」という人も大勢いるのでご注意を)、ゴジラのように権利者が会社になると、どうしてもビジネスになってしまうので「ご自由にどうぞ」なんて言ってくれなくなります。

 

ところで、映画でない部分のゴジラの著作権(ポスターや予告編など)は50年で切れますから、2016年現在では日本では著作権は切れています。

では、その画像等を使って二次創作(著作権法の用語ではありませんがわかりやすさを優先してこの言葉を使います)をしても良いのでしょうか。

 

結論から言うと、可能ですが、他の知的財産権に気を付けなければいけません。

 

他の知的財産権とは、ここでは商標権を言います。

 

「ゴジラ」や「godzilla」は1990年になってからようやく商標登録されました。知名度のわりには遅い商標登録ですね。他人によって先に取られているゴジラ関連っぽい商標登録が気になりますが…
まあ、その話は置いといて、「ゴジラ」商標は、実にさまざまな指定商品・役務で登録されています。

ほんの一部をあげると、電気カミソリや電池、自動車、薬剤、化学品、サービスとしては預金の受け入れ、美術品の展示、書籍の制作・・・etc.

営利(商売)目的で「ゴジラ」という言葉を使おうものなら容赦なく攻撃を受けてしまいます。

 

「ゴジラ展」と銘打って入場料をとって(またはクラウドファンディングで資金を募って)展覧会を開こうものなら確実に商標権の侵害になります。

 

これは著作権と違って半永久的な権利なので、他人は勝手に「ゴジラ展」を開くことはできません。

もし「ゴジラ」という言葉を題名に使ってゴジラを基にした作品を発表したいのなら、学校のような非営利の場所で教育目的等でお金をとらずに作品を展示するという方法があります。

 

お金や宣伝が絡んできた時点で知的財産権の侵害になってしまうので注意してください。

知的財産権といえば、不競法が絡んでくることもありますが、ここでは多くを語らないことにします。

というわけで、ゴジラの展覧会を開きたいアーティストさんは、完全非営利で行うか、著作権者である東宝に許可をもらうか、著作権が切れるまであと数年松待つか、予告編のみを利用して日本で展覧会を開くか、またはそもそも展覧会の開催を諦めるという選択肢しかありません。

 

ちなみに、営利目的でゴジラの展覧会を開くことは著作権(や商標権)の侵害になることは述べましたが、その展覧会を宣伝するためにサイトを立ち上げ、godzillaに似たドメインを取得した場合、そのドメインを移転または取り消すように権利者から請求される可能性があります。
ドメイン名と知的財産権の関係については、近日中にメインサイトの方にアップします。アップしました。