エッセイストの葉石かおり氏の著書を出版した木世出版という会社が葉石かおり氏の本の出版から1年も経たないうちに、語尾を変えただけのパクリ本を出版されたと告白し、インターネット上で話題になっています。

*この記事も旧ブログのもので、実際に書かれたのは3年近く前です。

この場合、著者である葉石かおり氏を救う方法はあるのでしょうか。
著作権法に基づいて説明してみたいと思います。

 

まず、木世出版は、著作者である葉石かおり氏から出版権の設定を受けていると思われるので、複製行為をすることが出来ます(著作権法21条)。

そして、木世出版は、頒布の目的を持って”原作のまま”当該原稿を複製することができます(著作権法80条第1項1号)。

語尾を変えるなど改変を加えた場合は、同一性保持権を侵害します(著作権法20条)。

 

そして、最初の出版の日から3年を経過後は全集などに収録して複製することができます(著作権法80条第2項)。

 

木世出版の出版した廉価のコンビニ本には葉石かおり氏の名前も表示されていなかったということですので、氏名表示権(著作権法19条)も侵害しています。

 

ということは、木世出版は、出版権の範囲を超え、葉石かおり氏の著作権を侵害していることになりますので、葉石かおり氏は、著作権に基づき、差止請求(著作権法112条)や損害賠償請求(民法709条)などをすることができます。

 

訴訟を起こせばまず勝てるでしょう。

 

しかし、訴訟を起こす必要もないかもしれません。なぜなら、これだけネット上で噂になっているので訴訟を起こすまでもなく、出版社側から何かしらのコンタクトを取ってくると思われるからです。

 

一般の人に強欲だと悪いイメージを持たれるというリスクはありますが、今回の例のように明らかに著作権を侵害されている場合にはTwitterやブログなどで著作権を侵害された旨を公開することは有効な手段です。

 

今回の事件は、確かに著作権侵害をされて不愉快な事件ではありましたが、このニュースによって葉石氏の本の存在を知った人もいるでしょうから、ある意味ラッキーな事件だったかもしれませんね!?

炎上ブログみたいに葉石氏にそれほど悪いイメージは持たれないでしょうし。