ゲームの実況中継はどこから違法なのか。著作権法に基いて解説

小学生のなりたい職業の上位にランクインするほどユーチューバーは憧れの職業(?)になっているとかいないとか。

スマホやパソコン一つあれば、誰もが簡単にyoutuberになれるが故に、誰もが簡単に著作権の侵害者となり易いので、注意すべき点について述べたいと思います。

 

特に、他人のゲーム実況中継の取り扱い方についても法的に正しく説明したいと思います。

 

といっても法律の専門用語を使うと分かりづらくなってしまうため、理解を優先させるために「一般用語」を使います。法的に正しい言葉は知財の知識に書いてあるのでそちらを参照してください。

 

ゲーム実況中継と著作権の原則

まず、原則ですが、ゲームの実況中継は、著作権侵害となります。

 

といっても、自分で楽しむためだけにゲームの実況を録画する行為は著作権侵害にはなりません。

 

しかし、その動画をユーチューブやニコニコ動画のような動画投稿サイトにアップロードした途端、複製権(著作権法21条)及び公衆送信権(同23条)の侵害となります。

 

ゲーム実況が著作権侵害とならない場合

 

しかし、動画投稿サイトを見ていると山のようにゲーム実況がアップロードされていますよね。

 

これはどういうことかというと、

 

①PS4やXboxなどのように、録画や投稿機能が搭載されているゲーム機本体を使ってゲームの録画・投稿をしている。

②ゲーム実況が許されているゲームをしている。

③ゲーム実況が許されていないゲームだけど、まだ権利者が気づいていないだけ。

 

ということが考えられます。

 

まず、①についてですが、これは著作権的に最も安心な方法です。

投稿できる動画の長さや場面などを公式が事前に許可を出しているので、この機能を使って投稿することは「公式のお墨付き」を意味するので、著作権的に何も心配することはありません。

 

ただし、面白い動画加工ができないので、ユーチューバーの多くの人はこの機能を使わず、動画をビデオで撮って編集してから投稿しているようですね。

 

②についてですが、一定のゲームについては、会社側がゲーム実況中継OKと許諾を出しています。

 

たとえば、任天堂のゲームやスクエニのドラクエ10などがあげられます。

ドラゴンクエストと著作権についての詳しい解説はこちら

 

このようなゲームはどんどん実況中継してしまってください。

ゲーム会社もyoutuberも儲かるwin-winな関係を築けます。

 

ただし、ネタバレには注意してください。ストーリーをバラしてしまうと視聴者がプレイする意欲をなくしてしまうからです。

したがって、ネタバレをするときには、目立つように大きく「ネタバレあり」と表示するべきです。

 

そうしなくては動画削除依頼が来ることになります。

 

ペルソナのような謎解きの要素があるゲームなどは特にネタバレをされてしまうと困ることから公式がペルソナ5のネタバレ動画を厳しく規制していたことがあります。

しかし、海外からブーイングが来て海外でだけ解禁になったり・・・。

運営も大変ですね(^^;

 

 

さて、③に該当するゲームはゲームの実況中継をすべきではありません。

 

それは、公式が何らかの理由により、ゲーム実況中継を許諾をしていないからです。

 

理由としてはいろいろ考えられるでしょう。

ゲームのイメージを崩してしまうとか、ストーリー性のあるもののため、先が見えてしまうと困る、裏技がバレてしまうとこまる、などです。

 

このようなゲームの実況中継をしてしまうと、原則通り著作権侵害となってしまいます。

 

 

その他、ゲームの実況中継について注意すべきこと

ゲームの実況中継をした動画を有料販売しない。

裏技のやり方などを録画したものや、手の込んだゲーム実況中継動画は有料で販売したくなってしまうかもしれません。しかし、このようなことは許されません。

あくまでも、ゲームの実況中継は、原則としては著作権侵害に当たるのです。ですから、動画コンテンツをお金儲けのために利用してはいけません。(ただし、ユーチューブやニコニコ動画の収益化プログラムを使うことは問題ありません。)

 

Nintendo creators program

Nintendo creators programに参加していれば、任天堂のゲームの実況中継を著作権の侵害を気にすることなくできます。

Nintendo creators programより
Nintendo creators programより

ただし、ライブ配信については禁止されています。

そのため、任天堂のゲームをライブ配信したい場合は、Nintendo creators programに参加していないアカウントで行いましょう。

ゼルダの伝説BotWなどは、任天堂のゲームの中でも非常に質の高いゲームであるため、発売から随分たった今でもゲームの実況中継を見たいという人はたくさんいると思います。

 

ですから、ゲームのプレイ動画の配信を行いたい人は、まずはこんなゲームの動画配信を行い(もちろんゼルダの伝説に限らず、ファイナルファンタジーでもモンスターハンターでもなんでも好きなゲームの実況中継を配信してください)、慣れてきたら、徐々に動画に編集を加えたりして独自の動画を作ってください。

 

また、最初からお金儲けを目的とするよりも、純粋に楽しみたいという目的で始めるべきでしょう。

なぜなら、お金を儲けるためにはプロ並みの編集を行う必要がある、とか編集テクニックを教わらなければいけない、と考えて、怪しげな自称youtubeコンサルのコンテンツを高額で購入させられてしまう可能性があるからです。

 

そうした有料コンテンツは、ゲーム会社の著作権を侵害をしている可能性が高い(他者への説明のためにゲーム内の画像や音楽等を使うと著作権侵害になります)ので、十分に注意してください。

 

他人のゲーム実況中継の取扱

個人がしたゲームの実況中継もその個人の著作物です。

 

したがって、ゲームの実況中継をしているユーチューバーの作品を勝手に他の動画投稿サイトに投稿したり、加工してアップすると、著作権侵害になってしまいます。

 

そのユーチューバーやゲーム会社から警告がくる可能性があります。

 

「二次創作だからいいだろ」なんて言い訳は通用しないのでご注意ください。

 

以上いろいろと書いてきましたが、ゲームの実況中継は、同人誌と同じように、「著作権者からお目こぼしをしてもらっている」分野であるといえます。

だからといって「やりすぎ」てしまうと、著作権を侵害することもあるので十分に注意しつつ、楽しんでゲームの実況中継をしてください。

 

なお、その他著作権について疑問がある場合は、知財の知識で質問を受け付けております。