この記事をシェアしよう!

*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

3日ほど前のことですが、アラサーちゃんで有名な 峰なゆか氏が他人の創作をパクったとしてネット上でちょっとした騒動になっていました。

 

騒動を知らない人のために一連の事件を簡単にまとめると、

 

➀「今日のゲイバー」の作者TSUKURU氏の作品を峰なゆか氏がパクったらしい
➁TSUKURU氏が怒った。
➂アラサーちゃんが連載されている雑誌の編集部がTSUKURU氏に謝罪
➃峰氏本人は沈黙
➄峰なゆか氏は➀が起きる前(8月)に他社の新人漫画家の作品を読まずに題名やコンセプトが似ているという理由でパクリだと決めつけTwitterのフォロワーも巻き込み連載を中止に追い込んだという事実がある

 

ということになります。

 

これは一見著作権侵害事件のように見えますが(だからこそ知財ブログであるこのブログで言及しているのですが)、実は問題の本質はそこにはありません。

 

結論を述べる前に、まずはアラサーちゃんが連載されている編集部の主張を見てみましょう。
アラサーちゃんが今日のゲイバー作品をパクったことにたいしてのコメントです。

 

「当該作品を拝読した峰なゆか先生が、オマージュ的に当該作品を踏まえたうえで、さらに展開を加える形で4コマ化しており、編集部としては新たな作品として成立していると判断いたしました」

 

つまり、「二次的著作物として成立している」と編集部は判断したようです。

しかし、「二次的著作物として成立している」ことと「著作権侵害ではない」ということは別の話です。

許諾を得ずに勝手に二次的著作物を描いた場合は著作権の侵害になります(著作権法20条)。

 

ただし、峰なゆか氏の作品事態には著作権が発生しているので他人は勝手に著作権を侵害しないように(たとえばこのようなブログ記事を書くときに「参考」としてアラサーちゃんのマンガを許諾無しでたくさん載せてはいけない)注意しなければいけません。

 

次に、TSUKURU氏のTwitterでの発言を見てみましょう。

 

今日のゲイバー
リツィートしていたネタの件、私はかぶってるではなく、使われたように思います。ネタ自体はオリジナル性にかけ、かぶる事はあると思いますが言葉の選びと並び方が3つ一緒で、作為を感じたからです。事実確認をしてから行動とるべきですが、出版社から音沙汰なく行動に出た次第です。

 

「作為」を感じたとおっしゃっていますが、法律用語で言うと「悪意」でしょうか。
「知っててやった」という意味です。

 

たしかに言葉の選び方と並び方が3つ一緒でオリジナリティを感じません。
これは、いわゆる「パクリ」といっていいでしょう。

 

ただし、日常的に使われる「パクリ」ではありますが、著作権侵害かどうかと問われると、実は峰氏の行為は著作権侵害にならない可能性があります。

 

というのも、著作権法は、具体的に表現された創作物にのみ及び、アイデアやコンセプトといったものには著作権は発生しないからです。

 

そう、峰なゆか氏がパクったのはアイデアなので著作権侵害ではないのです。
(ただし、作品の発表時期やセリフなどを厳密に比べていくと著作権侵害と認定される可能性はあります)

アイデアを保護する法律は特許法です(もちろんマンガや小説のアイデアは特許なんてとれません)。

 

したがって、峰氏が、「今日のゲイバー?何それ?そんなの知らない。似てる?偶然じゃない?」としらを切り通せば著作権侵害にはならずに済みます(もう今日のゲイバーを読んだと言ってしまいましたから無理ですが)。

 

ですから、今回の事件の問題は、

 

●TSUKURU氏の作品を真似てしまったためにTwitterユーザーに盗作がバレた

sponsored link

 

●それだけならシラを切り通せば逃げおおせたが、以前に、自分の作品に似ている(と思い込んだ)作品の作者を権力を使い連載中止にまで追い込んだので周りが黙っていなかった

 

というところにあると思います。

 

峰氏は事前に何の罪もない力の弱い新人漫画家にパクリ疑惑を投げかけておきながら自分がパクったので余計ブーイングを受けてしまったわけです。

 

ただ、峰なゆか氏を擁護するわけではないけれど、気持ちはわかります。

 

人は、失う時には得るときの数倍もの痛みを感じるので(心理学でいうところの、損失回避や認知バイアス。年収10億円の人でも10万円落としたら大騒ぎするように)峰氏の反応は当然といえば当然の反応なのです。

 

パクられたら誰だって嫌ですよね。

でも、その気持をパクるときに維持することが出来なかったのが峰氏の残念な点です。

 

「パクられたくない」という感情を主観的なものと認識したうえで「中立的に見たらどうだろう?」と客観的立場に立って考え行動(発言)するのが良識ある大人です。

 

たとえ著作権侵害にならないとしても、盗作をすると、ファンを失ったり、仕事を失ったりするので、やらないのが正解だし、本当にパクられたという事実が確認出来ないかぎり、SNSで不確かな情報を拡散してはいけない、というお話でした。

 

なお、Facebook(私はやっていないのですが、インターネットで見れます)での佐藤秀峰氏の発言が秀逸でした。https://www.facebook.com/satoshuho/posts/1000995293276999

 

作品に人気があったり、ネット上で発言力が大きくなったりすると、誰でも自分が偉くなったような気がする瞬間ってあると思うんですよね。

正直、僕はあるんです。
自分の作品のパクリを見かけると軽蔑的な目で見てしまう一方、面白い新人を見かけると「無名だしアイデアいただいちゃおうかな?」なんて良からぬ気分になる時が。
そういう調子に乗っている時こそ気をつけなきゃいけないんだけど、やっぱり調子に乗ってると見えないことも多いのでしょうね。

なお、著作権についてもう少し詳しく知りたい方はメインサイトに詳しい記事を描いてありますので御覧ください。特に、創作に携わる人には知ってほしいです。

作品はどこまで似せて大丈夫?
アイデアは著作権法で保護されるか

sponsored link