音や動き、ホログラム、位置といった従来では認められていなかった商標の出願が今年(2015年)の4月から認められ、10月27日に第一弾が登録されました。

*例のごとくこの記事も旧ブログ「問題解決中」のものです。

1000件ほどあった商標登録出願のうち、商標登録査定(商標法16条)を受けたのは43件でした。

出願件数が423件と最も多い色彩商標の査定は一件も認められませんでした。

特許庁の主張するように、「色彩のみで違う製品と識別するのは難しい」と言えます。

慎重を期するところなので、この点に関しては良いと思います。

 

でも、いずれ商標登録が認められる色彩商標も出現するでしょう。
個人的には吉野家の看板の色なんかは識別性があると思いますが、さて、どうなるでしょう。

 

これから色彩の商標登録出願を考えている人は、実際に商標を使用して、周知性を獲得してからでないと商標登録査定を受けるのは難しいと考えたほうが良いでしょう。
相当有名な商標でも商標登録査定を受けることが出来ていませんから。

 

音の商標に関しては、「お〜い、お茶」など「音」+「声」の商標は登録されましたが、正露丸のトランペットの音のように「音」のみの商標は登録されませんでした。

 

ただ、拒絶査定がされたわけではないので、いずれ商標登録される可能性はあります。

 

音の商標に関しては、有名どころがたくさん商標登録査定を受けています。
「フジッコのおまめさん♪」やエプソンの「カラリオ♪」花王の「ビオレ♪」や大正製薬の「ファイトー、イッパーツ」などなど。

 

女性におなじみのドクターシーラボの赤いワンポイントマークやエドウィンのジーンズのポケット横の赤いタグのように、「位置」の商標が認められたのも面白いですね。

 

北海道のセイコーマートは、店舗看板の商標登録査定を受けています。

 

動きの商標では、エステーのピヨピヨ言ってるひよこちゃんやワコールのロゴ、第一生命保険のロゴ、映画の東宝のロゴなどが認められています。

 

ホログラム商標は三井住友カードの商標登録出願一件だけが登録査定を受けました。

 

これらの商標は、登録料を支払って商標登録されてから商標として保護されますが、登録されていない現在でも、設定登録前の補償金請求権(商標法13条の2)が認められますので、関係ない人が商標を真似すると、その使用により生じた業務上の損失額相当分の支払いを求められることになります。

 

ちなみに、動きの商標に関しては、「演出の仕方」を真似してしまうといけないのかと心配することがあるかもしれませんが大丈夫です。

 

たとえば、菊正宗酒造の紫の風呂敷が開いて中の酒瓶が現れるという演出は、指定商品「日本酒」など酒類でのみ菊正宗酒造が独占するわけであって、この演出を他の指定商品・役務で真似をしても大丈夫です。

 

たとえば、ワコールのロゴも同じように蕾が花開くという演出をしていますが、無事商標登録査定を受けていますから。

 

新しい種類の商標とはいえ、基本は通常の商標と変わりません。

 

新しいタイプの商標の出願について気になることがあったら、拒絶理由通知を受けて出願料を無駄にすることを避けるためにも、弁理士のような専門家に聞くか知財の知識の商標カテゴリーを見てください。