今日は珍しく、一日で2つのラノベ関連のニュースを見ました。

 

一つは、「二度目の人生を異世界で」という異世界召喚もののラノベ(ライトノベル)が、出荷停止に追い込まれたニュースです。

これは、アニメ化も決定していたラノベの原作者が、過去に人種差別的な発言をしていたことを理由に、出版元のホビージャパンが出荷を取りやめたという事件です。

SNSで差別発言を連発しジャニーズを追い出された夏目雄大と同じような感じですね。

 

そして、もう一つは、「小説家になろう」というサイト上で他人が勝手に西尾維新の名前を語って小説を発表していたという事件です。
しかも、書籍化やアニメ化の告知までしています。

 

前者の事件は知財サイトであるこのサイトとは関係ないので後者の事件について取り上げたいと思います。

 

 

通常、著作権の侵害というと、勝手にコピーしたとか無断で画像を使われたとか内容が勝手に書き換えられた、といったことが多いと思います。

 

しかし、今回はかなり毛色の変わった事件です。

 

他人が書いた著作物を自分のものとして勝手に使うのではなく、自分で書いた著作物を他人名義で発表しているからです。

 

この場合、著作権法上、罪になるのでしょうか。

 

結論から言うと、刑事罰の適用がある可能性があります。

 

本当はただの素人が書いたにもかかわらず、有名作家の名前を語って作品を発表しているわけですから、有名作家の名声を貶めますし、作品を見た人たちを混乱させることになります(実際、混乱が起きています)。

 

したがって、著作者名を詐称した者は、刑事罰に処されることになります。

 

ここで、条文を見ておきましょう。

 

著作権法第百二十一条 著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

つまり、西尾維新本人ではないのに、西尾維新という周知の変名を著作者名として表示して著作物の複製物を頒布した者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処せられるのです。

 

ちょっとしたイタズラの気持ちでしたことでもこのような罰則があることから、軽々しくして良いようなイタズラではないのです。

イタズラをした人は、「実は西尾維新じゃありませんでした〜」と後から名乗って、西尾維新を超える天才作家、華々しくデビュー!なんてことを夢見たのかもしれませんが、

上述したように、西尾維新の名声を貶める行為ですし、公衆を欺いているわけですから、ネタや笑い話では済みません。

 

というわけで、自分もこの事件を真似て有名作家の名前を語って小説を発表しよう!なんて思っている人がいたら、刑務所という異世界へ召喚されてしまうことになるのでお気をつけください。