*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

俺のイタリアンを始めとして俺のフレンチや俺のスパニッシュで有名な俺の株式会社。

そのビジネスモデルはイノベーションとも呼べるほど鮮やかですが、奇をてらったわけではなく、堅実で現実的な経営をしています。

顧客も会社もそして料理人も幸せになれる素晴らしいビジネスモデルです。

 

さて、こんな俺の株式会社ですが、一つだけ弱点があります。

 

それは、知財意識が低かったことです。

 

今でこそ「俺の○○」と聞くと、すぐに俺の株式会社が思い浮かびますが、俺の株式会社は「俺の」系の元祖というわけではありません。

 

俺の株式会社以前にも「俺の○○」という商品名や役務名を使っている業者はたくさんいました。

 

飲食系の商標権で最も古いものは、東洋水産株式会社の「俺の」でしょうか。1997年にコーヒーや弁当、すし、ピザ、コメ、菓子などについて商標登録出願しています。

また、「俺の太麺」なども俺の株式会社設立前にすでに商標登録されています。

 

したがって、俺の株式会社は「俺の○○」にこれほど顧客吸引力が化体するとは思っていなかったのかもしれません。

 

ショックなのが、「俺のラーメン」や「俺のもつ鍋」について会社設立直後に他人に商標権を取られていることです。

 

また、「俺の鮨」や「俺のステーキ」「俺の串揚げ」についてもわずかの間に他人に商標を取られています。

 

商標法は早い者勝ちが原則なので、こういったことが起こるのです。

 

俺の株式会社は会社設立後3か月くらい経ってからようやく一つ目の商標「俺のやきとり」を出願します。

 

俺の株式会社は2012年に会社を設立してから短期で知名度をあげましたが、その名前への信頼というブランドを商標権で守り始めたのが遅すぎ、甘すぎました。

 

有名商標に便乗して商標登録をする他人が後を絶ちません。

 

ファミリーマートが「俺のスイーツ」やら「俺のプリン」「俺のエクレア」などの商標を登録し売り出したのも俺の株式会社の人気が出てきたころです。

 

更に2013年中に「俺のカレー屋」についても他人に商標を取られてしまいました。
即席カレーについて「俺のカレー」も取られています。
俺の株式会社は2015年になってようやく飲食物の提供について「俺のカレー」について商標登録を受けています。

 

2014年に入ってからは「俺のつけ麺」や「俺のうどん」「俺の鉄板焼き」「俺のキッチン」「俺の豚」についても他人に商標を取られています。

 

このように、人気のある名前は、他人も商標登録を受けようとします(上記した商標すべてが俺の株式会社の人気にあやかった商標ではないでしょうが)。

たとえ今は使わない商標でも、事業を拡大して使う可能性がある場合には早めに商標登録を受けておく必要があります。

 

そうしないと事業を拡大したくても他人に商標権が邪魔で進出できないということになってしまいますから・・・。

少なくとも商標権の買取をしない限り、俺の株式会社は「俺の」を冠したジンギスカン専門店やラーメン専門店、うどん専門店などを始めることはできないのですから・・・。

 

ところで、中華料理が「俺の揚子江」って、何か、変!と思いませんか?
俺のイタリアン、俺のフレンチ、俺の焼肉、ときて次に俺の・・・揚子江???

 

これは先願登録商標の存在が原因かもしれません。

上述したように「俺のラーメン」は他人に商標登録されていますし、また、神戸に餃子屋さんがあって、そのお店が「俺の餃子」商標について商標権を取得していますから。

 

まだ「俺の○○」については空きがあるので、商標ブローカーに商標を取られる前に早く商標を取ってほしいものです。