4年ほど前に「理想の世界」についての記事を書きました。
詳しい内容は記事を参照していただければと思いますが、簡単にまとめると、「進化の法則によると、今後は境界が減る。全てが明るみに出て誤魔化しは効かなくなる」ということです。
さて、これに関連して、透明性のあるビジネスや尊ぶべき経営理念とはどのようなものか見ていきたいと思います。
尊ぶべき4つの経営理念
1.利益の正当性(数字という結果よりもプロセスを重視する)
伊藤忠商事や丸紅の礎を築いた初代伊藤忠兵衛は「利は勤むるにおいて真なり」と言っています。
これは、真の利益とは、地道に商いに励んだ結果として得られたものだけだ、ということです。
買い占めや売り惜しみによる相場の操作、他人を欺いたり無理を強いることで儲けることを戒めた言葉です。
以前買い占めたマスクをメルカリのようなフリマアプリで高値で転売している人たちがいましたね。
このような行為は健全な経済秩序を乱します。
また、政府から転売が禁じられたように、いずれは痛い目を見ますし、会社がこういう販売方法を選択しても、結局は信頼を損ねてビジネスは永続しません。
こうした汚いやり方で利益を上げたとしても、正当な利益としては認めないという経営理念を持っていたので、忠兵衛の理念は未だに我々の心を打つのでしょう。
汚いやり方で儲けるのは簡単です。しかし、利益の正当性にこだわることにより、ビジネスの本道を踏み外さないことになります。
これが三方良しに繋がります。
2.三方良し
これは、非常に有名な言葉なので一度は聞いたことがあると思います。
三方とは、売り手、買い手、世間を意味します。「売り手よし、買い手よし、世間よし」がビジネスの基本です。
売り手が喜ぶだけでは足りません。買い手も喜び、事業が地域社会の発展や福利の増進に繋がることが必要です。
しかし、言うのは容易いですが、行うのは困難です。凡人は目先の利益に振り回されてしまうからです。
よほど倫理観の高い人でないと、2方良し、または1方良しになってしまうでしょう。
そして、いずれ消え去ります。
存在が悪だからです。
転売屋は消えてしまいましたよね。
もちろんいくらでも湧き出てきますが、短期でまた消え去る運命です。
3.ローコスト経営
なるべく自分の利益を少なくして、経費を節約することにより細々と続けられることが必要です。
むやみに事業を拡大しようとはしません。
売り手が後悔するほどの薄利で売ることが事業の永続に繋がります。
短期で暴利を貪ることを強く戒めています。
4. 押し込め隠居
会社を私物化しようとする経営トップをトップの座から引きずり下ろし、隠居させる制度です。
凡人は、自分の子息に利益を譲りたいと考えます。
しかし、事業に私心を持ち込まず、事業を永続させようという目標を持っている役員たちは、トップに胡麻をするのではなく、老害でしかないトップを引きずり下ろします。
これによって、経営の若返りと健全化が図れます。
まとめ
以上4つの経営理念を見てきましたが、これからのビジネスに必須の考えでしょう。
特に、1つ目の「利益の正当性」については強く意識する必要があります。
楽をして儲ける、儲かれば正しいという考えの人たちばかりのこの世の中で差別化を図り信頼を勝ち得ることができるでしょう。
また、プロセスを評価しようという考え方は、人事にも影響します。
従業員を評価する際に、単純に売上だけを見るよりは、他の貢献をも評価します。
嘘をつかない正直な人間性や他者を元気づける力という評価しにくいこともしっかりと上司が評価してあげることにより、善の連鎖が続きます。
単純に能力が高いとか勤続年数が高いという理由で評価されるのではなく、高潔な人格や倫理感を評価することにより、集まってくる人も同様に倫理感が高く能力の優れた人たちばかりになります。
従業員にとっては、自分の所属する会社や自分の職業に誇りを持って働くということは何よりもの褒美です。
高い報酬でしか人を呼び寄せられないのならば、考え方を改める必要があります。
報酬の高さにだけ惹かれてやってきた人は、帰属意識が低く、いつでも裏切るからです。
今まで続いているビジネスだけでなく、これから伸びるビジネスもこの4つの経営理念を守っている事業であると考えます。
この理念の下では短期的に大きな儲けを出すことは難しいでしょう。
しかし、長く細々と続けられ愛される事業になります。
自分だけ儲けられればそれでよい、従業員は使い捨てにすればよい、自分とその家族の利益だけを増やせればあとはどうでもいい、いくら経費を使ってもいいから儲けられるときに儲けてやろう、そんな考え方では、消費者やサービス利用者の不信感を買うだけです。
ビジネスに行き詰まったとき、もう一度この基本理念に立ち返ってみてはいかがでしょうか。