ベネッセが販売していた小学3年生向けの算数のテストが教育同人社と光文書院の制作したテストに酷似するとして出版差止を求める警告を受けたというニュースを見ました。

 

各種ニュースサイトを見てもハッキリとした画像は見ることは出来なかったのですが、ぼんやりと「配置や色使いがにているな」という印象を受けました。

 

教育同人社によると、同社が発行した小学3年生向けのテストと、ベネッセのテストは問題で使っている数字が違うが、問題の種類(計算や時計の読み方、図形の面積など)やレイアウトが極めて似ているとのことです。

 

教育同人社も光文書院も「もしベネッセが独自に創作しているのならこれほど酷似することはあり得ない」と主張しています。

 

さて、ベネッセの行為は著作権の侵害に当たるのでしょうか。

 

 

まず、そもそもの大前提として、テストは著作物に当たるのでしょうか。

 

これについては、問題ありません(著作権法2条)。
場合によっては編集著作物(著作権法12条)となります。

 

では、著作権の侵害、ここでは複製権の侵害に該当するには、当該著作物に「依拠」及び「類似」していることが必要となりますが、この点はどうなのでしょうか。

 

数字や文言が完全に一致していないから著作権侵害にはならない?

 

これについてはちょっと難しいですね。

 

著作権法は表現を保護するものなので、表現が異なるのなら著作権の侵害とはなりません。

図形や時計の絵はありふれていて誰が描いても同じようになりやすいですから著作権の侵害となることは少ないでしょう。

 

しかし、テストの場合には数字を入れ替えるなんて簡単にできます。特に小学3年生向けならなおさらです。(私も小学生の親ですから、よくドリルを見ながら数字だけ入れ替えて問題を出したりします。)

 

そのため、このケースでは、個々の問題の著作権というよりも、編集著作物の著作権が侵害されたと考える方が適切でしょう。

レイアウトなんかそっくりですしね。

 

ベネッセでテストを作った人が2社のテストを参考にした(=依拠した)のであれば複製権の侵害になる可能生は高いといえます。

 

ベネッセ側は新聞社の取材に対して著作権の侵害はないと主張しているようですが(個々の表現が異なっているため)、裁判になったら負けてしまう可能生が高いのではないでしょうか。

 

まあ、今回はベネッセ側は当該テストの回収をしてしまったわけですから2社の主張は通ったわけですが、釈然としませんね。

 

・・・というか、ベネッセのテストを持っている人がTwitterとかで呟いて「これがベネッセのテスト!こっちは光文書院のテスト!」と言って晒してしまう人が現れるのではないかと危惧しています(^^;

 

そしたら、私は本当に著作権侵害になるかどうか両者を比べることが出来て面白いのですが・・・(笑)