フジフイルム・セルラー・ダイナミクス(FCDI)が日本で2016年に取得した特許について、京都大学iPS細胞研究所などが異議申し立てをしたというニュースを見ました。

iPS細胞を発明し製法の基本特許を持っているのは山中伸弥教授です。

 

一方、血液からiPS細胞を作る重要な方法の一つに関する特許を取得したのは富士フイルム傘下のフジフイルム・セルラー・ダイナミクス(FCDI)です。

ちなみに、CDI社は、世界で初めてヒトES細胞を開発したウィスコンシン大学のジェームス・トムソン教授らが2004年に設立したベンチャー企業です。

 

基本的には基本特許の方が強いのですが、FCDIのように改良特許を持っている企業が多数存在すると、基本特許の所有者としても身動きが取れなくなってきます。

したがって、産業の発達のためには、高額な特許料や特許権の存在は好ましいものではありません。

だからといって日本が特許を取らないと他国に遅れをとることになるので取らないわけにはいきません。

 

そんなわけで京都大学iPS細胞研究所はフジフイルム・セルラー・ダイナミクスに異議申し立てをしたのですが、両者は異議申し立ての結果が出る前に協力関係を結ぶようです。

 

適切な判断ですね。

 

なお、特許庁によると、iPS細胞を含むヒト幹細胞に関する特許については、日本では細胞の樹立などの「要素技術」関連が全体の7割以上を占めていますが、米欧や韓国は応用に近い「細胞治療」などの項目が最も多くなっています。

日本には、ぜひiPS細胞を含むヒト幹細胞関連ビジネスを成功させてほしいところですが、外国勢の特許の威力は凄まじいものがあります。

どうなるのでしょうか・・・。