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履歴書を書くときに気になるのが、自己PRや志望動機です。
ここで評価が分かれる可能性も高いので下手なことは書けません。
だからこそ自己アピールの下手な人や履歴書を書きなれていない人は、書籍やウェブサイトを見て魅力的な文章を真似ようと思うことでしょう。
ところで、「履歴書の書き方」のような本やウェブサイトに載っている例文に著作権は存在しないのでしょうか。
著作権法2条1項1号及び著作権法10条1項1号では以下のように規定しています。
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作物の例示
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
文章は言語の著作物に属するものであるから、当然に著作権で保護される著作物に該当することになりそうです。
しかし、「履歴書 例文集」に載っているような文章は、マネをして書くことが想定されているものです。したがって、真似をしても著作権侵害の責めを負うことはないでしょう。
また、私的使用(著作権方30条)に当たるという主張もできるでしょう。
さらに、例文は、著作物であるための要件である「思想または感情を創作的に表現」したものであるかどうかも怪しいでしょう。
そもそも、その「例文集を参考にしていた履歴書」は会社等の人事担当者などごく限られた人にしか開示されないものですから、著作権者は著作権侵害をされた事実に気づけません。
というわけで、例文集を真似して履歴書を書くことは著作権的な問題はないと言えそうです。
ただし、「例文を履歴書に書く」以外の使い方(たとえば例文をプリントアウトした下敷きを販売する等)をすると著作権の侵害になる可能性はあります。
それから、著作権法的には大丈夫でも、「履歴書としての魅力」については考えたほうが良いかもしれません。
なぜなら、人気の仕事ほどたくさんの履歴書が届き、採用担当者はたくさんの似たような履歴書に目を通すことになるので、例文を丸写ししただけの履歴書はそれだけでオリジナリティの無さから落とされてしまう可能性があるからです。
「見栄えの良い」自己PRや志望動機を書くことも大事ですが、「誠実に自分の言葉で」例文を参考にしつつ書くのがよいでしょう。
ちなみに採用担当者が「うちにこんな変な志望動機を書いてくるやつがいた」と履歴書をツイッターなどで開示してしまった場合は著作権侵害になる可能性があリます。