昨日のブログ記事の最後に、「高級ブランドに興味は無い人でも買いたくなる高級ブランド品とはなんでしょう」という問題を出しました。
さて、答えは分かったでしょうか。
問題の解き方としては、「お金持ちではないのに高級ブランドが好きな人」とはどのような人か、ということをまず考えると良いと思われます。
お金持ちではないのに高級ブランドが好きな人は、その高級ブランド品を持つことによりすごいと思われたい人ですので、見栄っ張りだったり、自分に自信がない人だと言えるでしょう。
ということは高級ブランド品に興味が無い人というのは、お金を持っていない人か見栄よりも実を取る人だといえます。
そう考えると答えは見えてきたのではないでしょうか。
答えは、複数あります。
抽象的に述べてしまうと、答えは、「生活に必須で高品質のもの」です。
たとえば、白物家電(冷蔵庫・洗濯機など)は生活に必須です。
(すごく余談ですが、我が家には黒物家電が溢れています。その中でも頻繁に使うプレステ4とスイッチが我が家の破壊神バブーにより壊されました。特にプレステ4はDVDを入れるところに100円玉を入れられ、中身が取り出せなくなりました。)
安い白物家電で済ませようと思う人もいるでしょうが、一度でも高品質の家電を使ったら、ある程度の金額は出そうと思う人が多いのではないでしょうか。
家電を使う理由は自分の労力を減らすことですので、私にはいくらなんでも一万円の掃除機なんて使えません。
吸引力が低い掃除機を使っていると非効率的なので、逆に時間の無駄です。
我が家の白物家電のほとんどは、家電の中ではどちらかというと高いイメージのあるパナソニックの製品です。
これは、私が高級志向だからというわけではなくて、いろいろ試した結果、質と信頼感を考えたらそうなっただけです。
デザインを重視したらダイソンの掃除機を買うでしょう。
さて、家電の世界でもこのように「ブランド品」の概念はありますが、今度は、いかにもブランド、なブランド品の例を挙げてみたいと思います。
たとえば、化粧品です。
さらに言うと、百貨店における高級ブランド化粧品です。
(ちなみに私は美意識低い系です。仕事の関係で化粧品に詳しいだけです)
化粧品というものはメディアに採り上げられる他、口コミで噂が広がりやすいものです。
憧れのあの女優さんがCMに出ているから、という昔ながらの理由で買う人も多いのですが、最近は、友達が使っていて良さそうだったからという理由で購入する人多くなっています。
(直接の友達ではなく、SNS上のインフルエンサーに焚き付けられて商品を購入する人も多いです。悩みを理解するふりをして商品やサービスを勧めて儲けるインフルエンサーは若い人たちからは支持されていますが、その不誠実なやり方を嫌う人々からは苦々しく思われています。
しかし、昔ながらの雑誌やテレビの広告でも、そのCMに出ている芸能人がその商品を実際に使っているわけではないので、不誠実といえば不誠実ですね)
女子高生くらいだとプチプラコスメが人気なのですが、最近は、社会人になると20代前半でも高級ブランドの化粧品を買う人がたくさんいます。
しかも、百貨店で!
割引されない百貨店で、高級ブランド品を定価で買うのです。
消耗品なのに!小さなメイク道具一つが1万円くらいするのに。
「高級ブランド品なんかヤフオクとかメルカリで買えばいいじゃん。1万円のものが1000円で買えるよ」と考える人にとっては、この価値観を信じられないかもしれません。
だって、そもそも化粧なんてしたくないもの。時間の無駄。
そんなことしている暇があったらもっと別のことに時間を割きたい。時間は有限。
化粧なんて苦しい。お金もかかるしやりたくない。
でも、大人の女はマナーとして化粧をしなくてはいけない。
そんな葛藤があるので、少しでも化粧品への出費は抑えたいと思うのが通常です。
(化粧を好んでやる女性もいますが、必ずしも「多くの女性」ではありません)
でも、彼女たちはお金がないのに百貨店で化粧品を買うのです。
理由は、
その化粧品ブランドの持つ高品質を保証してくれる信頼感と
百貨店の持つ信頼感=ブランドのためです。
前者については、いくら名前が有名なブランドでも、質が悪いと顧客は離れていきます。
一方、質が高ければ、値段相応ということで購入してもらえるのです。
販売される場所も重要です。
百貨店は決して偽ブランド品を扱いません。非常に信頼できます。
代わりに割引はしません。
一方、メルカリやヤフオクは、安く高級化粧品を手に入れることができますが、偽物が横行しています。
そして、なんとアマゾンでも偽物がたくさん売られているのです・・・!!
たとえば、こちらのイブ・サンローランの化粧品。
美容好き女子の間でも人気の定番の商品です(私はこの商品を仲の良いプロのメイクアップアーティストの人に教えてもらいました。私がこの商品を買っても彼女には一円にもならないのに教えてくれた情報なので信頼できます。更に、彼女自身がこの商品を使っていることから情報の信憑性が増します)。
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・・・だけどこれ、おそらく偽物です・・・。
レビューを見てください。
「質感が違う」「蓋が開いていた」など、偽物を疑う声が多数見受けられます。
正規品は百貨店で5000円(税抜き)します。
アマゾンなら3000円以下です。でも、代わりに偽物の危険性があります。
メルカリなら1000円で手に入ります。でも、偽物の可能性が更に高くなる・・・。
・・・となると、百貨店で最初から5000円出していた方が結局は安心だということです。
化粧品は毎日使っていれば3ヶ月ほどで使い切ります(私なんて3年経っても使い切りませんが)。
女性の場合は様々な化粧品を買い揃えなければならず非常にお金がかかります。
しかし、本当に質の良い物を使うことが出来るのならばと思い、お金を持っていない女性たちも百貨店で定価販売の化粧品を買うのです。
そんなわけで、高級ブランドバッグに興味のない女性でも定価販売の場所で高級化粧品を買うというわけです。
昨日の記事のエルメスのところで述べたようにお金が無くても圧倒的なブランド感のために欲しいと思わせられるのではなく、「安心感・信頼感」を求めて買うというわけです。
高級品を持ってすごいと思われたいという気持ちからではなく、良質なものを適正価格で買いたいから高級化粧品を買うのです。
マーケティングな面から見ると前者ばかりが目立ちますが、知財的側面から見ると後者が重要になってきます。
消費者の気持ちって複雑なように見えますが、少しずつ解きほぐしていくと、何を求めているかが見えてくると思います。
私は値段に見合う「質の良さ」は必要だと思っています。
逆に、質が低いものを良いものに見せかけて売る、という手法は非常に苦手です。低品質のものを有名人を起用して販売したり、インフルエンサーにお願いして売ってもらうという方法は好きではありません。
一方、本当に良い物やサービスは自信を持って売ることができます。
最近はAmazonの他に楽天などのレビューも本当の感想を現していないことから消費者の支持を得ていません。
一方、リアルな友達から得られる口コミは簡単に信頼してしまうと言えます。
たとえば、Apple製品は高いなと日頃思っている人でも、友達が「新作のMac book proすげーいいよ」と言っていると「俺もほしい」と思ってしまいませんか?
知らない人のブログで「Mac book proについての比較」なんていう記事が載っていてもすぐには購入には至らないでしょう。
しかし、身近な友達がその製品を購入して「いいわ〜」なんて言っていると欲しくなってしまうと思います。
やらせの口コミが増えたことから、逆にリアルな感想の信頼感が増しました。
リアルな口コミというのはなかなか手に入りにくいものなので、余計そうかもしれませんね。
私も何かを購入するときには友人のアドバイスを参考にします。実際に使わせてもらったり、サンプルをもらうことができるので出来る限り聞くべきと思っています。
その道のプロ=オタクに質問をすると結構喜んで答えてくれますし、「買ったよ」報告をすると更に喜んでもらえるのでお勧めです。
アドバイスを貰わずになんとなくシャネルだし良い商品だろうと思って買ってがっかりしたことなんてよくあります。コーポレートブランドは有名でも、各製品が全て優れているとは限りませんから。
アマゾンのようなオンライン通販サイトで買えるものはアマゾンで購入し、リアル店舗に行かないと買えないものはショッピングを一つのイベントとして楽しみながら購入するようにしています。
消費者の気持ちを味わうには実際に自分が消費者になることも大事だと思っています。
ちなみに私の夫は衝動買いが好きですので、私のように価格コムで最安値のお店を調べることはせず、家電量販店で実際に利用してみて気に入ってその場で購入ということをよくします。
だから我が家には黒物家電が多いのですが・・・。
安く買いたいけど、必ずしも最安値を求めない。
消費者の心理って面白いですね!
化粧品の他にもアパレル分野なんて流行り廃りが目まぐるしいので、少し前に使えた手法があっという間に陳腐化します。
日々勉強をしなければいけませんが気付きがあって面白いなあと思っています。
私自身はアンティークとかレトロな物が好きだったりするんですけどね。