商標審査基準が改訂されました。
審査基準というものは、時代にあわせて変更されます。
このブログでもよく商標関連のニュースを扱っていますが(出願手数料を支払わない者による商標の大量出願など)、そういう「問題」行動をする人や社会の実情に合わせて審査基準は変更されます。
第14版の改訂ポイントは以下になります。
弁理士試験受験生は要チェックです。
こういう「覚えるのが楽なのに重要」な改訂点は、勉強すれば確実に点をとれるからです。
これに対し、特許法67条3項などは「コスパが悪すぎる問題」です。
覚えるべきことが多すぎてしんどいんです。
ですから、勉強することは悪いことではありませんが、特許法67条3項の暗記を頑張るよりも、「条文の本質的な理解」を優先させてください。
ちなみに、「コスパが悪すぎる問題」としては、著作隣接権も挙げられます。
きちんと勉強することは悪いことではありませんし勉強すべきですが、ちょっとしんどいですね・・・。
私も受験生の頃は頑張って勉強しましたが、結局ちゃんと理解できたのは合格後です。
精神的にも余裕があって勉強を楽しめるときにやると面白いのが著作権法です。
受験生が勉強していると辛いですね・・・。
さて、商標法審査基準の話に戻ります。
日頃商標のニュースをよくチェックしている人にはいずれも納得の改訂理由だと思います。
(1)商標法第3条第1項第6号
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
(略)
六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
現元号以外の元号についても、その元号が、元号として認識されるにすぎないものである場合には、現元号同様に識別力を有しないものとして、商標法第3条第1項第6号に該当します。
例えば、当該元号が会社の創立時期、商品の製造時期、役務の提供の時期を表示するものとして一般的に用いられていることを考慮します。
(2) 商標法第4条第1項第7号
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
(略)
七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標
品種登録出願中の品種の名称に対する悪意の商標登録出願について、商標法第4条第1項第7号における商標審査基準の「当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合」に該当するものとして、悪意の商標登録出願に対応する基準が「2. 本号に該当する例」に新たに例示されました。
(例:品種登録出願中の品種の名称と同一又は類似の商標であって、その品種の種苗若しくはこれに類似する商品若しくは役務、又はその品種に係る収穫物若しくはこれに類似する商品若しくは役務について使用をするものについて、品種登録出願後に商標登録出願をし、当該商標登録出願に当該品種の名称の品種登録を阻害する目的があることが、情報の提供等により得られた資料から認められる場合。)
(3)商標法第3条第1項第3号
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
(略)
三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
商標法第3条第1項第3号の審査基準に、本号の該当性は、一般の需要者の認識を基準に判断される旨記載し、あわせて、出願された商標が現実に用いられていることを要するものではない旨が明記されました。
(4) 平成30年6月9日に施行された改正商標法第10条第1項について、商標審査基準で引用している条文の記載を改正後の条文に変更。
(5) 書換申請の審査基準について、書換申請の処分が全て終了し、書換申請の対象となる商標権も全てなくなったため、該当する商標審査基準を削除。
以上5点見てきましたが、重要なのは1〜3です。短答試験にも出題されそうです。
たとえば、「改元前に設立された菓子会社が、設立当時の元号であった”平成”を商標として用い、指定商品”菓子”について、”平成”の商標登録出願をした場合、その商標登録出願は拒絶される」⇒答え:○
という感じですね。
もちろん、文言には注意してください。(「〜されることはない」「常に拒絶される」「〜される場合がある」などなど)
最近は「いくつあるか問題」が増えてきたので嫌な感じですね(^^;