大阪大学大学院高額研究科の倉本洋・元教授が共同研究をしていた会社から賄賂を受け取ったこと及び大学の研究費を不正に流用した罪を問われた事件の裁判の判決が昨日(2017年7月11日)出ました。
執行猶予付きの有罪判決でした。

 

詳しい内容は旧ブログで書いていたのですが、現在復旧作業中(しかもリンク切れ・・・)なので、事件の内容について簡単に説明します。

倉本洋被告は、大学に無断で建設会社と共同研究を行い、データを提供し、その見返りに現金を受け取った(私的な口座に入金させた)ということです。

 

判決のなかで大阪地方裁判所の裁判長が指摘しているように、倉本被告は建築耐震工学の第一人者であり、国立大学の教授という立場にありながら賄賂を積極的に受け取ったことは非難を免れ得ません。

 

・・・ただ、この事件が怖いのは、「立場を利用すればいくらでも誰でもこのような事件を起こせてしまう」というところです。

 

そして、このようなことをしている大学教授は倉本被告の他にもたくさんいることでしょう。

 

大学側からしてみれば、無断で勝手に企業と契約を結ばれるのは困ります。自分のところの設備も使っているわけですし。

 

ただ、企業側からしてみれば、ほしいのは教授の知識です。
そして、教授が欲しいのはお金です。

 

ということは仲介する立場にある大学は省いてしまった方が企業と教授にとっては好都合なわけです。

 

問屋を介さず直接買った方が安くなりますし、不動産仲介業者を通さずに直接取引をした方が仲介料を取られない分、お得ですしね(?)

 

そんなわけで、似たような事件は起こりやすいといえます。

 

しかし、黙っていられないのは大学側です。

 

企業はそもそも〇〇大学の教授だからという理由で教授に接触してきたはずです。
教授は大学のブランド名を利用しておきながら大学にお金を流さないのは不公平です。

 

このような問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか。

 

まず最初に言えるのは、「契約」の存在です。

 

大学側と教授、及び教授と企業とでそれぞれ契約を結ぶ必要があります。

 

特に注意したいのが、企業と教授の共同研究によって生まれた「発明」についてです。共同で特許出願するのか、特許を受ける権利を教授から譲り受けるのか等細かく規定する必要があります。(これらの用語の意味はリンク先のサイトで詳しく説明をしています)

 

また、秘密保持も重要です。

そして、悩ましいのが、秘密だからこそ大学にも詳しい内容や金額について話せないということです。それにより内容や金銭の流れがあいまいになってしまいます。

 

大学で生まれる発明は、職務発明(特許法35条)と似たところがあります。
大学側だけ、または教授側だけに有利とならないように発明の取り扱いには十分に気を付けなければなりません。

産学連携は、いまや研究開発を望む企業にとっても資金を調達したい大学にとっても、なくてはならないものです。

大学、企業、大学教授の三者にとってwin-win-winの関係になれるようにしたいものです。