*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

トランプさんがTPPからの離脱を宣言したため、米国抜きのRCEPが注目されています。
輸入野菜安くなるし消費者には良いわね♪と言いたいところですが、知的財産の条項に関しては問題がありそうです。

昨年(2015年)の10月15日にRCEPの文書がリークされたのでオンラインで見ることができます。http://keionline.org/node/2472

この知財に関する条項のうち、section5が特許です。(昔、条約を勉強していると、必ずしも特許が一番最初に来ないで商標や地理的表示なんかが先に来たりするので違和感を覚えていましたが、同じように特許がsection1ではないんですね。どうでもよいことですが)

特許のsectionを見てみると、「特許期間の(実質的)延長」がRCEPでは規定されていることがわかります。

手術方法については特許権の効力を及ぼさないと規定されているのですが、医薬品の項では特許権者を過剰に保護しすぎていますね。
TRIPS協定の保護を上回っています。

医薬品の特許をあまりにも優遇してしまうと、早期にジェネリック医薬品を作ることが出来なくなってしまいます。
結果、一般の人、特に容易に薬を買うことが出来ない途上国の人には惨いこととなります。薬が買えない貧乏人は死ねと言っているようなものですね・・・。
日本の製薬会社にとっては良いのかもしれませんが人道的には許されることではなく、大きな問題を引き起こしそうです。

さて、特許権の実質的延長に関しては問題がありますが、商標や意匠の保護については特に問題なさそうです。

著作権に関しては、TPPと同じように著作権の保護期間が70年と延長されます。
著作権が延長されても日本にはメリットよりもデメリットの方が大きいのでこの点も問題です。

これらのことを勘案すると、知的財産の分野に関しては、RCEPはご破算にしてしまって、各国首脳が集まってみんなでPPAPについて踊りつつ語り合った方が良い気がします。