*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。
日本人と外国人、親と子、夫と妻、友人間、上司と部下・・・。
十人十色と言うように、人によって意見は違います。
その意見の違いが争いを産み、紛争にまで発展している地域もありますが、戦争のない日本の中でも意見の対立による争いは日常茶飯事です。
年長者を敬わず、自慢気に自分の考えを吹聴するY世代を年配の人が苦々しく思ったり、逆に若者が「石頭」の大人たちを目の上のたんこぶのように感じたり・・・とどこでも対立は耐えません。
人間がいる以上、意見や価値観は違って当たり前です。
だからこそ、この人間関係の問題を解決出来れば、一人ひとりが生きやすくなり、結果として社会全体も住みやすくなるでしょう。
夫が話を聞いてくれない、妻が聞く耳を持たないといった夫婦間のトラブルに始まり、親子間のトラブル、上司と部下の考え方の違い、政治や宗教上の思想の違う人たちとの揉め事も解決出来るようになります。
これはもう問題解決しないわけにはいきませんね!
まず、いつもどおり理想的最終解(IFR)を考えてみたいと思います。
理想は、「素直に話を聞いてもらって望む行動をしてもらう」ことでしょう。
表面的に話を聞いてもらって「はいはい、わかりました」と生返事をもらっても行動してもらえなかったら話を聞いてもらったことにはなりません。
しかし、そもそも価値観が違ったり意見が違うわけですから、簡単にはこちらの話を聞いてもらえない方が当たり前です。
このような「理想」はこちら側が何らかの戦略なり手段を採らなくては達成できません。
したがって、意見や価値観の違う人と仲良くするために「こちらが」すべきことを考えていきたいと思います。
取りうる手段はおおまかに3つに分けられます。
➀諦める
➁攻撃する
➂歩み寄る
➀は、結果として話を聞いてもらえませんからどうにもならなかったときの最終手段です。
男女間だったら別れる(片思いだったら単純に諦める)という方法です。
従業員だったら、退職するという方法です。
まず他の方法を試みて、それでも解決出来なかった場合に採りましょう。
➁は理性的なときにはしませんが、ついついやりがちな方法です。
たとえば、相手の欠点を攻撃する、そしてそれに対して反撃し・・・と泥沼の戦いになります。
訴訟という手段もあるでしょう。
国家間の場合は戦争です。
この方法も採りたくはないですね。
➂は上記➀➁の手段を採る前に採るべき方法です。
ようするに「妥協する」ということです。
これは初の問題解決法です。
というのも、このブログでは第一回目よりずっと、「妥協だけはしない」ことをモットーに問題解決をしてきたからです。
妥協はしないで矛盾点を探しだし理想を追求するのが私のしたい問題解決策です。
しかし、技術的問題解決ツールではそのような解決を出来ましたが、今回ばかりは妥協で我慢するしかないようです。
といっても、お互いが我慢しあうだけで終わらせるつもりはありません。
お互いが意見を出し合うことにより矛盾点を指摘し合い、より高次の目標を達成できるように仕向けるつもりです。
たとえば、従業員が給料アップを求めているときに、会社はこれ以上給料を高く出来ない、と突っぱねてしまうとそこで終わってしまいます。
しかし、会社側が「給料アップは出来ないが、フレックス制にしてより働きやすくする」というふうに譲歩してくれると従業員はその案を受け入れようという気になります。
ですからこの解決策は、見た目は「妥協」ですが、ただの妥協ではなく、「止揚(アウフヘーベン)」を目的としたものです。
さて、「歩み寄り」「妥協」ですが、ここでは「お互いが考えていることを述べ合う」「こちらの意見を押し付けようとするのではなく、逆に相手の話を聞く」という方法と定義付けたいと思います。
対立が起こるのはお互いが「自分が正しい」と思い込んでいるからです。
ですからどちらも「自分が正しい」と主張しているだけでは何の解決にもなりません。
そこで、「まずは冷静になって相手の話を聞く」ということが重要になってきます。
お互いの意見を出し合ってから、どちらか一方が我慢するのではなく、お互いの意見を取り入れた解決策を模索していきます。
たとえば、子供が学校をサボって繁華街をブラブラしているのを見かけたら、親は子供の主張も聞かずにカッとなって怒鳴ってしまうかもしれません。
しかし、すべての行動には理由がありますし、表面的な問題を捉えて攻撃しても問題は解決しません。
実は、子供は学校でイジメられていて苦しくて行き場がなくて繁華街を一人でぶらぶらしていたのかもしれません。それを一方的に「勉強が嫌で怠けている」と決めつけて味方になるべき親が攻撃してしまっては、子供は行き場を失ってしまいます。
また、訴訟を起こす前には通常は警告をします。たとえば、他社が自社の知的財産権を侵害している事実をつかんだら、まずは警告をします。侵害だと思っていたのはこちらの勘違いで相手にはこちらが気づかなかった先使用権のような正当権限を有している場合もあるからです。また、相手がすんなり知的財産権の侵害行為をやめることもあります。
弁護士費用も時間もかからないので効果的な解決方法です。
この「意見を述べる」ということは、簡単なことではありません。特にシャイな日本人には難しいでしょう。
「こんなこと言ったらわがままだと思われるんじゃないか」「こんなこと言ったら嫌われてしまう」「こちらが我慢すればいいのだから」
そんな理由をつけて意見を述べることが出来ません。
しかし、意見は意見です。相手がそれをどう捉えるかは気にせず勇気を出して伝える必要があります。そうしなければ相手が超能力を持っていないかぎりこちらの気持ちを汲んでもらうことは絶対に出来ません。
私自身、人一倍この「意見を述べる」ということが苦手でした。
意見を押し付けることと意見を述べることをゴッチャにしていたのかもしれません。
ただ黙って陰で泣いたりストレスを貯めていただけです。
でも、ある日大切な人と喧嘩をしたときに気づきました。
我慢して自分の意見を主張しないのは「逃げ」であると。
逃げてしまっては問題は解決しません。
勇気を振り絞って意見を述べることは多くのエナジーを必要とします。
慣れていないので余計です。
しかし、そもそも「喧嘩」にすらならない状態で諦めて逃げているのでは、どこにいってもまた同じような問題にぶち当たるでしょう。
どうしても意見の食い違う友人と仲違いし、そのまま疎遠になってしまったこともありました。
夫にも不満を告げられずただずっと我慢していたこともありました。
しかし、夫との意見の違いを放置してただ私が一方的に我慢してストレスを貯めこんでいるだけでは、子供にも悪い影響を与えてしまいます。
そこで、状態を打破するためにも勇気を出して意見を述べることにしました。
(夫が「話してみて」と促してくれたおかげでもあります)
初めは慣れていないせいでうまく言葉が出てきません。
もどかしさと恥ずかしさで逃げたくなりました。
しかし、どうにか自分の意見を伝えることが出来ました。
そして、夫の考えについても語ってもらいました。
話している途中で、夫自らが自分の話の矛盾点に気づいてくれたりいろいろと得るものはありました。
私も自分の考えに固執するだけでなく、相手の立場に立って考える余裕が出てきました。
完全に問題が解決したわけではありませんが、以前よりも良好な夫婦関係が気づけたと思います。
雨降って地固まるという感じです。
意見を述べる時のポイントは、感情的にならず、理性的・中立的に語るということです。
ただし、人間は感情の生き物なのでどうしても意見のなかに感情が入り込んでしまうばあいがあります。
そのときは、相手が意見を出し終わってからその点を指摘すればいいだけです。
冷静に相手を尊重しながら話を聞き、また意見を述べれば争いへと発展せずに自然と解決策が出てくるものです。
なお、この段階に行く前に、日頃から取りうる手段があります。
発明原理で言うところの「先取り作用原理」です。
何か問題が起こる前に、それが争いへと発展しないように事前に何らかの手段を講じます。
たとえば、日頃から意見を述べやすいオープンで良好な人間関係を築きます。
家族だったら、一日のうち必ず一度は一緒の食卓を囲んで今日あったことを話し合うということでもいいですね。
また、相手に対し意見を述べる場合には、相手の発言をネガティブに捉らえないようにします。あくまでも肯定的な表現を使います。
そして、最も効果的なのが、相手を好きになるということです。
意見が違う人とは分かり合えない、といって諦めてしまうのではなく、相手の良い所を見つけて、そこを好きになるのです。
欠点を見つけることのほうが簡単かもしれませんが、人の長所を見ているとこちらも気分が良くなってきます。
そして、副次的作用として、自分のことも好きになれます。
だって、一番欠点が多くて嫌なのは自分ですからね。
他人の嫌な面が見えて不愉快ということは、他人の中に自分の悪い面を見つけてしまったからです。
でも、そこを見逃して良い面だけを見るようにすれば、自己嫌悪に陥らず、前向きになり、結果として自分も愛することが出来るようになります。
長所だけの人はいないように欠点だけの人もいません。
あら探しをする方が簡単だからこそ、努力してでも他人の長所を見つけ、認めることが出来るようになれば、そもそも争いに発展することも相当少なくなると思います。
「相手に意見を聞かせる必要がない」くらい他者を尊重できるようになるのが、理想的解決策かもしれません。