先日は、ライバルを無視することのメリットについて書きましたが、今日はアイデアを人に話すことのメリットについて書こうと思います。

 

通常、知的財産の世界では、他社の知的財産の調査をするのが重要であるように、アイデアを人に離さない=秘密を漏らさないということも重要です。

目に見えないアイデアにも金銭的価値があるからです。

 

しかし、アイデアを人に話すということにはメリットもあります。

 

もちろん、発明のアイデアだったら盗まれてしまう可能性があるので先に特許出願を済ませてからアイデアの話をすべきでしょう。

 

しかし、アイデアを人に話せば話すほど、よりアイデアが湧いてくるという法則があります。

 

物語のアイデアなら後生大事に秘密にしておくよりも、どんどん話してしまったほうがいいでしょう。
事実、優秀な作家は、出し惜しみすることなくアイデアをどんどん人に話しているようです。

 

著作権は「アイデアに対して与えられるもの」ではなく「具体的に表現された表現物」に対して与えられます。

 

いくらアイデアを真似されても何も主張することはできません。

 

しかし、神は細部に宿ると言われるように、書き手によって同じアイデアでも違う作品に仕上がります。

同じストーリーでも優れたストーリーテラーが語る物語と凡人の書いた小説では月とスッポンです。

 

もし同じアイデアから生まれた作品でも、自分の作品よりもアイデアを真似した人の作品の方が面白かったならばそれはそれで良いのではないでしょうか。

 

自分にはそれだけ文才がなかった=相手のほうが表現が上手かったというだけのことです。

 

もちろん悔しいでしょうが、その悔しさをバネに文章力を磨けばいいでしょう。

 

結果として後に優れた作品を創れる力をつけることが出来るのですから。

 

そういうわけで、良いアイデアが欲しいときは、一人で部屋に閉じこもってあーでもないこーでもないと唸っているよりも、外へ出て(インターネットでつながって)どんどん人に話してしまったほうが良いでしょう。

 

「そんなのつまんないよ」というフィードバックを受けるかもしれません。

 

しかし気にする必要はありません。

 

自分の考えを整理するために話しているだけですから。

 

話をする相手は専門家である必要もありません。

特にエンターテイメント作品だったら、専門家なんていないのですから(エンタメを見る人全てが専門家と言えるかもしれません)話を聞いてもらう相手は誰でもいいわけです。

 

人の意見を聞いたり本を読んで知識を吸収するのも大切ですが、アウトプットする場を設けることも大事です。

 

それにより、アイデアはより洗練されます。

 

ケチケチして秘密主義でいるよりも、オープンにして自分の持っているものを公開するほうが、より多くのアイデアが自分のもとへ集まってきます。

 

後日の争いを避けるためにも取れる知的財産権は事前に取得しておいた方が好ましいとはいえますが、あまりお金にこだわらず沢山の人に役立ってほしいと考えてオープンにするのも良いと思えます。

 

人類の役に立つ発明をすればそれを特許出願すればお金を稼げますし、特許を取らずにオープンにした場合は、ノーベル賞がもらえるかもしれません。

 

下手に日本限定で特許権を取得して小銭を稼ぐくらいなら、全世界に向けて価値ある発明を無償公開するのも結局は自分に取ってプラスになるかもしれません。

 

お金がかかるために、全世界で特許権を取得するのを躊躇している中小企業やベンチャー企業は、「役に立つ発明を無償公開する」ことにより、自社名を有名にすることもできます。

 

発明もアートのような創作も全て同じです。

 

知的財産権で囲い込んで直接的にお金を稼ぐか、オープンにして遠回しにお金を稼ぐか、知財戦略として考えてほしいところです。