知財の知識・改「弁理士編」で過去に配布していたレジュメです。

この論文問題の答えは知財の知識・改に載っています。
 

【問題】
 甲は、工具に関する発明に係る特許権を有している。乙は当該特許発明の技術的範囲に属する工具を製造・販売している。甲は、乙に対して特許権侵害訴訟を提起した。乙は侵害訴訟の中で36条4項1号違反を理由とする特許無効の抗弁1を主張し、同時に同理由によって無効審判1を請求した。その後、甲の特許を有効とする審決が出た。そのため、特許権侵害訴訟の中で乙の特許無効の抗弁は認められず、甲の請求は認容された。そこで、乙は知財高裁に控訴し、今度は進歩性違反を理由として特許無効の抗弁2をした。同時に同理由により無効審判2を請求した。また、乙は無効審判1について審決取消訴訟を提起した。そのため、甲は訂正審判を請求できなかった。
 その後知財高裁において口頭弁論が終結し、乙の主張が認められ、甲の請求は棄却された。そのすぐ後に乙の提起した審決取消訴訟が棄却されたので、甲は訂正審判を請求し、特許請求の範囲を減縮し訂正認容審決がされた。この減縮後の特許請求の範囲によれば、甲の特許権侵害訴訟は認められたはずである。そこで、甲は「原判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更されたものとして民訴法338条1項8号に規定する再審事由がある」旨主張し、最高裁へ上告した。
この事例において以下の設問に答えよ。
(1)訂正の再抗弁が認められるための要件を述べよ。
(2)甲の上告は認められるか。論ぜよ。なお、甲は特許権侵害訴訟の中で訂正の再抗弁を一度も主張しなかった。