防護標章登録においては商標法第64条第3項に規定されているように地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録についての前二項の規定の適用については、「自己の」を「自己又はその構成員の」と読み替えています。

ところが、団体商標の場合には、64条3項のような読替規定が存在しないので。構成員の使用ではなく、団体自体の使用で要件を満たしている必要があると考えることも出来ます。
でも、これって7条の規定ぶりからどうも変です。

商標法第7条
一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人は、その構成員に使用をさせる商標について、団体商標の商標登録を受けることができる。

でも、条文に規定がない・・・。

こんなとき、どうすれば良いのでしょうか。

困ったときは、青本か商標審査基準に頼るのが鉄則です。

というわけで商標審査基準を見てみました。

商標審査基準第64条を見てみましょう。
「➀の周知度の判断に当たっては、この基準第2(第3条第2項)の2.(2)及び(3)を準用する」とあるので商標審査基準の商標法第3条第2項を見てみましょう。

2.「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」について
(2)考慮事由について
本項に該当するか否かは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断する。
なお、商標の使用状況に関する事実については、その性質等を実質的に把握し、それによってその商標の需要者の認識の程度を推定する。
➀出願商標の構成及び態様
➁商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域
➂広告宣伝の方法、期間、地域及び規模
➃出願人以外(団体商標の商標登録出願の場合は「出願人又はその構成員以外」とする。)の者による出願商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況
⑤商品又は役務の性質その他の取引の実情
⑥需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果

おお!➃で「団体商標」という文言が見えるではないですか!!
ということは、入れ忘れっぽいですね??

平成17年の一部改正において、地域団体商標制度が新設されたことに伴い三項の読替規定を新設したとされていますが、
団体商標も本来は商標法64条第3項に入れるべきだったのではないでしょうか。

防護標章登録の要件
第六十四条 商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。
2 商標権者は、役務に係る登録商標が自己の業務に係る指定役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定役務及びこれに類似する役務以外の役務又は指定役務に類似する商品以外の商品について他人が登録商標の使用をすることによりその役務又は商品と自己の業務に係る指定役務とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある役務又は商品について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。
3 地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録についての前二項の規定の適用については、これらの規定中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。