*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

インターネット上で面白い記事や画像を見かけたときは、その記事や画像を他者とシェアしたいと考えるでしょう。
その場合、引用の要件を守れば著作権者に無断で記事や画像を自分のサイトに載せたりTwitterでつぶやくことが出来ます。

 

ここで、最近新たな問題が浮上してきたようです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuchikiseiichiro/20150919-00049671/

通常、引用するときは、そのサイトのURLや著作権者名などを記載するのですが、これをしないで文章や画像を拡散している人たちがいるというのです。

 

それは、デジカメやスマホのカメラを使って写真を撮って(キャプチャして)友達に送る、という方法です。

 

普通、面白い記事などを見かけたときには、友達にメールするときにそのサイトのURLを記載して、「これ見て」という感じでシェアします。

しかし、それすら面倒と感じるのか1クリックという手間を省いてあげたいためか、画像や記事を写真に撮ってそれをそのままメールなどに添付して友達に送ります。

これらの行為は著作権侵害になります(著作権法21条、同23条)。

 

このような行為をするのは、主に中高生だとは思いますが、大人でもやっている人たちはいるかもしれません。
最近は大学1年生のときに著作権について学習することが多いと思いますが、きちんと著作権法を学んでいない人も多いからです。
義務教育の段階でしっかり教えていないのですから、ある意味仕方ありません。

 

しかし、これだけインターネットが発達し、誰でも著作権者・著作権利用者になれる現代では、誰もが引用の要件(著作権法32条)及び私的使用の範囲(著作権法30条)について学ぶ必要があります。

 

では、なぜ画像をキャプチャし、友達複数に送るという行為が著作権侵害になるのでしょうか。

 

まず、個人がWeb上で見かけた面白画像をスマホのカメラで撮って、それをLINEなどで友達に送るとします。

すると、この行為は著作権者側から見れば面白くないのですが、「個人利用」の範囲内であれば適法とされます。

 

しかし、この「個人利用」の範囲というのは狭く、LINEを通じて友達の友達、ようするに知らない人にまで拡散してしまった場合には個人利用の範囲とは認められません。

 

キャプチャを撮り、それを家族にだけ送るのは個人利用の範囲内なので適法なのですが、そのキャプチャを友達数人に送ってしまうと、著作権侵害となります。

 

DVDを焼いて友達に配るといった行為に近いでしょう。

 

というわけで、著作権者はこのような行為に対して著作権侵害を理由に差止請求(著作権法112条)などをすることは出来るのですが、あまり現実的ではありません。
実際に訴訟を起こしたりしたら反感を買うでしょうし。

 

しかし、現状では他に採りうる手段がないので、著作権者は、中学生や高校生を著作権侵害で訴えるという行為に及ぶかもしれません。

メディア運営者にとっては非常に悩ましい問題です。

 

さて、メディア運営者はこの「個人のキャプチャ・拡散行為」についてどう対処していけばよいのでしょうか。

 

「適切に引用しないで友達にキャプチャを送る行為は著作権侵害になる可能性がある」ということをサイトやTwitterなどで地道に教えるしかないでしょう。

 

著作権の存在を知っていながら権利侵害をする人もいますが、知識がないから知らずに侵害しているという人も多数います。
学べばすんなり受け入れてくれる人たちもたくさんいるはずです。

 

サイト「知財の知識」に著作権について分かりやすい記事を載せていますので、無断転載等に困っている方は、当該記事を読ませてあげてください。

画像をキャプチャしてLINEで友達に送ったら著作権侵害になる!?

中学生ユーチューバーや中学生ブロガーもいることから、
著作権教育を義務教育に取り入れ、早期のうちに著作権について学ぶ必要がありますね。