四月に娘の学校から配られたプリントに「お子さんの写真を学校のサイトなどに載せても良いですか?」と書かれていました。
昔はこのように事前の了承を得るようなことはしないで、学校側が勝手に児童の写真を使っていたケースが多いようですが、最近は児童の顔写真を保育園や幼稚園、小学校などのブログやパンフレットなどに掲載する前に予め児童の保護者に了解を得ることが主流になってきたようです。
このような場合に、「うちの子の写真が載るなんてなんだか嫌だ」と思う人もいれば、「どんどん載せて!」という人まで反応は様々でしょう。
私は、「あんまり載せてほしくないけど、だからと言って拒否に丸を付けると学校側にうちの子の写真だけ選別する無駄な手続きを踏ませることになって悪いから許可しておこうかなあ。でもプリントならともかくサイトにアップされるのは嫌だなあ」と考えています。
さて、このように「自分の意思に反して勝手に自分の姿を他人にさらされない権利を「肖像権」といいます。
他人の写真を盗撮して勝手にサイト上にアップするようなことをすると肖像権の侵害となります。
ちなみに、有名人の写真を無断で使用した場合には肖像権ではなくパブリシティ権の侵害となってしまうことが多いでしょう。
雑誌に載っている芸能人の写真などはそれ自体が著作物なので(カメラマンまたはタレント事務所などが著作権を持っている)勝手に転載すると著作権の侵害になってしまいます。
この「肖像権」と「パブリシティ権」についてはメインサイトに詳しく説明してあるのでご覧ください。
さて、芸能人の写真を勝手に撮って使用してしまうとパブリシティ権の侵害になってしまう可能性がありますが、芸能人にお願いをして写真を撮らせてもらった場合はどうなるでしょうか。
たとえば、私の両親は海外旅行中に偶然日本の有名芸能人に遭遇し、お願いして一緒に写真を撮ってもらいました(私や夫の年代ではそういうことはできません・・・)。
私はこの写真を載せた年賀状を受け取ったのですが、もし両親がSNSでこの写真をアップしていたらどうなったでしょう。
おそらくは特に問題にはならないと思います。
なぜなら、一緒に移った写真をほかの人にも見てもらいたいという感情はファン心理として自然なものであり、芸能人の気分や財産的価値も貶めるものではないからです。
ただし、もしこの芸能人がお忍びでこっそりとプライベートな旅行を楽しんでおり、それを盗撮して勝手にSNSで投稿してしまうとプライバシー権の侵害などの問題に発展してしまう可能性があります。
肖像権とパブリシティ権については、マナーを守って常識の範囲内の行為にとどめれば、特に権利侵害の問題にはならないと思います。
弁理士試験受験生は文系の選択科目受験者でない限り民法を勉強する人は少ないと思いますが、著作権法などの理解が進みますので、いつもの勉強の合間に息抜きとして(?!)民法の入門書を読んでおくことをお勧めします。
あまり熱心に勉強してしまうと本来やるべきことが後回しになってしまうので、司法試験向けの本などは使わず、あくまでこのような入門書を読む程度にしておけばよいと思います。
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また、「おにゃんこクラブ事件」や「マーク・レスター事件」などについても読んで学習を深めるとよいでしょう。この判例集に載っています。