久しぶりにPPAP商標問題の続報です。
・・・とその前に、韓国アイドルTWICEの新曲「yes or yes」がリリースされました。公開から24時間で3000万回生だそうです。
桁違いの再生回数に衝撃を受けました。
同時に、ダンスの一部がピコ太郎さんのPPAPに見える点にも衝撃を受けました。
DA PUMPのU.S.Aと甲乙つけがたいクオリティです。
(U.S.Aはリズムが衝撃だった)
さて、PPAPといえば、最初に話題になったのが2016年ですからもう2年も前のことになります。
そして、エイベックスホールディングスがした「PPAP」商標出願は他社による先取り出願の危機に晒されながらも、日本では2017年6月9日に無事登録されました。
では、商標の先取り出願をした会社はどうなったの?という点についてですが・・・。
どうやらマカオでPPAPについて商標登録を受けたようです。
その会社の代表の方がこのブログに直接コメントをしてその旨、報告されています。
詳しくはその記事のコメント欄を見ていただきたいのですが、上田育弘氏はマカオにおいて2017年度にPPAPの商標登録を受けています。
そして、その商標権をモバオク(日本)で販売しようとしていたのですが、モバオクから拒絶されていました。(モバオクでは有体物以外の販売は禁止)
私は、調べもせずに「日本のオークションではなかなか商標権を売れないだろうから(ごく例外的にヤフオクで可)、マカオのオークションサイトで売ってみては?」と無責任な発言をしてしまったのですが、マカオでは商標権のオークションサイトは見つかりませんでした。
そもそも、商標権というものは、その性質上、オークションで売買されることに向いていません。
世界でも商標権のオークションサイトは少数しかありません(特許権のオークションサイトはいろいろあります)。
しばらく経ってからまた上田育弘氏からコメントがあったのですが、どうやら台湾でもPPAPの商標権を取得したようです。
エイベックスホールディングス株式会社も台湾にPPAPの商標を出願していますが、ベストライセンス社も優先権を主張しているので、エイベックスホールディングス株式会社の商標出願は数日遅れとなってしまい商標権を得ることができませんでした。
このように、ジパングでは問題なかったPPAP商標ですが、台湾で競合しているというわけです。
台湾でベストライセンス社がPPAPの商標権を取得したとなると、厄介です。
エイベックスホールディングス株式会社が台湾でPPAPを使いたくても商標権の侵害になってしまうからです。
幸い(?)なことに、PPAPのブームは過ぎ去っています。
もしPPAPがまだ流行っていたら、今年の秋冬にレオパード柄が流行することもなかったでしょう。
ピコ太郎さんも既に別の曲を作ったりプロデュース業をしていらっしゃいます。
数年でリレーションシップがだいぶ変化したようです。
今更、PPAPの商標権なんていらないよ、とエイベックスホールディングスさんも考えているのではないでしょうか。
商標権を得るにはお金がかかります。
ベストライセンス株式会社も少なくない金額をPPAP商標権につぎ込んだことでしょう。
しかし、エイベックスさんかピコ太郎さんか古坂大魔王さんかどなたか関係者が「PPAP商標権を買いたい!」と思ってくれないと台湾におけるPPAP商標権を売ることはできません。
せっかくマカオと台湾で商標権を得たベストライセンス株式会社ですが、この「ビジネス」はうまくいかないのではないかと思います。
他者の商標を真似するよりもピコ太郎さんのリーゼントヘアを真似した方がビジネスになったことでしょう。
論文試験だと不使用取消審判が請求できる場合は3条1項目柱書違反(そもそも商標の使用意思が無かった)の無効理由による無効審判の請求も検討すべき、と回答することが求められますが、正にオークションに出品した時点で使用意思がなく、当然無効という結論になりそうな気もします。
関係者には絶対に売れないでしょうね。今更とは思いますがPPAPに便乗した商売がしたい第三者の買い手がつく可能性はありえなくもないと思いますが。
ベストライセンス社によるPPAP商標権はマカオと台湾におけるものなので日本の商標法は適用されません。
たとえば、台湾商標法では商標出願人による「使用意思」を求めていなかったと思います。
代わりに、他人の著名な標章と同一又は類似のもので、公衆に混同誤認を生じさせるおそれがあるものは、標章の所有者の同意を得て登録出願した場合でない限り登録されない旨の規定があります。
ピコ太郎氏の同意を得ていないため、無効理由を有するといった感じです。