*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事です。実際に書かれたのは2年ほど前です。
「小説のアイデアを真似された!著作権侵害だ!」とか「アイデアを真似されたくないから特許を取ろう」
という話をたまに聞きますが、アイデアを真似することは著作権侵害になるのでしょうか?
そして、特許権をとればアイデアは保護されるのでしょうか。
具体的事例に即して考えていきましょう。
たとえば、
「14歳の少年少女たちだけが乗れるロボットが出てくるアニメで、
主人公が自閉症で、ヒロインは人間味がなくて、キリスト教的な雰囲気を出しつつもSF っぽい考えさせるお話」
というアイデアがあったとします。もちろんエヴァンゲリオンのことです。
このアイデアを真似して別のアニメを創ったとします。
すると、そのアニメは著作権侵害になってしまうのでしょうか?
答えを出す前にもう一つ、音楽の場合についても考えてみましょう。
「普通のバンドが使わないタンバリン、ピアニカ、ハーモニカ、バンジョーといった楽器を使ってストリートミュージシャンとして名を馳せた」というゆずの経歴や楽器の選択アイデアを真似したら著作権侵害になるのでしょうか。
結論としては、「著作権侵害にはなりません」。
なぜなら、著作権法は、「具体的に表現された創作物」を守る法律であり、アイデアは保護されないからです。
アイデアだけでなく、歴史的事実や事件も保護されません。
たとえばマリーアントワネットが出てきて最後は処刑されたからといってベルサイユのばらのパクリとはいえませんし、秦王・政が出てくる漫画を書いても「キングダム」のパクリとはいえません。
アイデアを保護してくれるのは特許法です。
そして、特許法でも上記したような「アイデア」は保護してくれません。
特許法で保護してくれるのは「高度な技術的思想」(特許法2条1項)です。
「じゃあ、俺様のこの独創的なアイデアを真似されたら何も言えないのか!」とお思いになる人もいるかもしれませんが、お怒りになる前にちょっと考えてみてください。
アイデアごときに著作権が発生してしまったら大変です。
著作権のような強力な権利が単なるアイデアに与えられ、それが何十年、場合によっては100年以上も保護されてしまうなんて悪夢です。
他の人達がそのアイデアを使えなくなってしまうのでは文化が発展しません。
文化が発展しないのではつまらない世の中になってしまいます。
ですから、「表現されたもの」を「丸パクリ」する行為は当然著作権侵害になりますが、「単なるアイデア」を「真似した」くらいでは著作権侵害になりません。
大好きな作品からインスピレーションを受けたらそれに自分なりの解釈を加えて別作品として表現してみてはどうでしょうか。
まずは真似からはじめ、修行を積めば、そのうちオリジナリティも出せるようになるでしょう。
先行著作物を利用する場合には適法に引用します。
そのようにして創作者は正当な利益を得、文化は発展していきます。
なお、デザインを真似されるのが嫌だから著作権登録をしよう!なんて考えないでください。
著作権はそもそも登録しなくても自然に発生するものですし、デザインに関しては意匠法という法律が存在します。
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