最近のカメラは性能が良いので、誰でもプロ並みの写真を撮ることができます。
私も、たまに子供の「奇跡の一枚」を撮っては「ポスターみたくない?超キレイ!」と騒いでいます。
このように、誰でも美しい写真が撮れるからこそ気をつけなくてはいけないことがあります。
それは、肖像権と著作権です。
厳密に言うと肖像権は知的財産権ではないのでこのブログの趣旨からは外れますが、通常、著作権を学ぶときにセットで学ぶことが多いので一緒に説明します。
なお、法律学習者は理解を深めるために知財の知識を見て条文も参照してください。
著作権法は、こういった身近な事例をイメージしながら学ぶと効率的に学ぶことができます。
インターネットが発達した現代では、写真素材サイトが大盛況です。
私もたまにブログのイメージ写真としてフリー写真素材サイトを利用させてもらっています。
ブロガーやライターなどは利用する側ですが、カメラマン(プロに限らずアマチュアも)は写真を提供することもできます。
そして、安いものなら数百円から、高いものだと数万円の使用料を請求することができます。
そのため、著作権侵害だとして訴訟が起こされることも少なくありません。
もちろんプロのカメラマンは生活がかかっているわけですから、警告や訴訟をするのは当然の権利です。
しかし、カメラマンたちは、何よりも最初に知っておかなければいけないことがあります。
それが、最初に述べた肖像権です。
これは、写真を撮られる人の持つ「みだりに肖像を撮影されない」という権利です。
たとえば、知らない人からいきなりあなたの写真を撮影されてそれがインターネットにアップされていたら気分が悪いですよね。特に、その写真に対して人格を傷つけるようなコメントをつけられたりしたら最悪です。
したがって、写真を撮る場合には、必ず被写体となる人の許可をもらってから撮影することが最低限のマナーです。
そして、もしその写真をコンクールに応募したり、ネットにアップする(自分のブログに載せる、ツイッターでつぶやくなど)場合には、その可能性があることを伝え、許可をもらっておくことが必要です。
「そんなこと言ってしまうと許可なんてもらえないだろうから・・・」といって「盗撮」まがいのことをするカメラマンが大勢いますが、肖像権の侵害ですから決して行ってはいけません。
相手が誰だろうが勝手に撮影してはいけません。
公園でサッカーをしている少年たちの写真も勝手に撮ってはいけませんし、公園で子供を遊ばせているお母さんの写真も撮ってはいけません。
こういった写真は写真素材サイトで値段がつくので撮りたくなりますが、決して無許諾で行ってはいけません。
ありがちなのが、観光地での民族衣装を着た女性の無断撮影です。
京都で和服を着た人たち、
ハワイでダンスを踊る人たち、
韓国でチマ・チョゴリに身を包む女性たち・・・
そんな人々の写真を勝手に撮影してはいけません。
そして、仮に写真撮影の許諾をもらっても、インターネットへのアップロードやコンクールへの応募の許諾を貰わない限りは、用途外の使用をしてはいけません。
「どうせ外国だから気づかれない」と思って一般人の写真を勝手にアップロードすると、著作権や肖像権に対して「意識の高い人」たちから吊るし上げられる可能性があります。
それによって、カメラマン生命を絶たれます。
場合によっては、あなたの実名と顔写真までさらされます(もちろんこのような行為は許されません)。
このように、写真を勝手に使われてしまうことも恐ろしいのですが、直接関係のない人から攻撃を受けることもあるので、ネットへ軽々しく他人の肖像をアップすることは避けなければいけません。
特に、自分の著作権のことばかり気にして他人の肖像権へ敬意を払わないカメラマンは、インターネットの掲示板で格好の題材にされてしまいますので、十分に用心しなくてはいけません。
なお、一般人ではなく、有名人(芸能人など)の場合はパブリシティ権という権利でその肖像が守られています。
基本的には肖像権と同じように「勝手に写真を撮って使われない」という権利なのですが、芸能人の写真は一般人の写真よりもずっと高い金銭的価値を有するので、損害賠償額が非常に高くなります。
いずれにせよ、「他人の写真は勝手に撮らない」ということを覚えてくだされば結構です。
さて、肖像権とパブリシティ権の次は著作権です。
人の顔は著作物ではないので、人を撮影するときには肖像権とパブリシティ権を心配をしていれば良いのですが、その人がキャラクターグッズを持っている場合などには少し注意が必要です。
ミッキーマウスのTシャツを着て写っている人の写真をブログに載せても、単なる「写り込み」なのでディズニーから訴えられることはありませんが、必要もないのにディズニーグッズを持って写っている場合には注意が必要です。
ディズニーグッズを持つことが自然な写り込みと解されない場合には著作権侵害になりますのでご注意ください。
また、風景画の場合はそれほど著作権の心配をする必要はありませんが、建物や彫刻の写真を取る場合には注意が必要です。
一般家屋を撮る場合は著作権の問題が生じることはまずありませんが、芸術的な建築物には著作権が存在する場合があるので、勝手に撮ると著作権侵害と言われる可能性があります。
とはいっても、大抵の建物には著作権はありませんのでそれほど注意する必要はないでしょう。
詳しく知りたい方はこちらで説明しておりますので御覧ください。
というわけで、写真撮影をする際の注意点について述べてきましたが、写真を撮るときには、自分の撮った写真の著作権以上に、他者の肖像権を尊重する。ということを忘れないで下さい。
友達だからといって勝手に写真を使っていい道理もありませんからね!(イジメの原因にもなりますし・・・)