令和2年通常国会における著作権法改正案について

令和2年通常国会における著作権法改正案の発表がありました。

著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案

施行期日は基本的に令和3年1月1日からです(例外あり)。

 

インターネット上の海賊版対策の強化として、①リーチサイト対策②侵害コンテンツのダウンロード違法化などが盛り込まれています。
他にも写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大など、デジタル時代にふさわしい改正案だと思います。

 

なかでも目を引いたのが、著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入(著作権法63条の2)です。
以下に条文を載せておきます(新設は太字)。

著作物の利用の許諾
第63条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。
3 利用権(第一項の許諾に第一項の許諾に係る著作物を利用する権利をいう。次条において同じ)は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない。
4 著作物の放送又は有線放送についての第一項の許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録音又は録画の許諾を含まないものとする。
5 著作物の送信可能化について第一項の許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送信装置に係るものを除く。)の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、第二十三条第一項の規定は、適用しない。

利用権の対抗力
第63条の2 利用権は、当該利用権にかかる著作物の著作権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

 

特許法の当然対抗制度を参考にして導入された規定ですので、当然対抗制度を参照すると理解が容易だと思います。

弁理士試験受験生にとっては嫌な法改正ですが、趣旨や経緯を理解するとわかりやすいと思われますので、日頃から著作権関係のニュースを意識しておくと良さそうですね。

私も条文理解の役に立ちそうなニュースを見かけたらブログで取り上げていこうと思います。

 

また、今回の改正案はあくまでも改正案であって決定ではありませんから、今後の動きに注目していきたいと思います。