コロナ便乗商標出願と英雄の死

コロナ騒動の真っ只中で誰もが不安の中で生活している状態ですが、こんなときでも便乗商標出願を考える人がいるようです。

報道によると、中国では、湖北省武漢市に10日前後でスピード建設された仮設病院の名称(「火神山病院」「雷神山病院」)など、新型肺炎に便乗した商標登録の出願が1千件近くあったそうです。
商標法が使用を禁じる「社会主義道徳に有害なもの、あるいはその他の悪影響を生むもの」に該当するとして国家知的財産権局はこうした出願に警告しているとのことです。

なお、新型肺炎便乗商標登録出願があったのは仮設病院の名称以外にも『李 文亮』など、英雄の名前も含まれています。
この、李文亮氏は34歳という若さで命を落とした眼科医です。

wiki情報ですが、李文亮氏は勤務先の病院で患者からSARSコロナウイルスが検出された検査結果を見つけたため大学の同級生らのWechatグループで情報発信をしたところ、「インターネット上で虚偽の内容を掲載した」として、武漢市公安局武昌区分局の中南路派出所に呼び出され懲戒書への署名を求められ、訓戒処分を下されています。

メディアは李文亮をデマを広げた最初の8人の1人と見なしていましたが、呼び出された日付も異なり間違いだったことが後に判明しています。

李文亮氏はその後、武漢市中心医院で働いていたところコロナウイルスに感染し1月12日から入院しています。入院中の1月31日、SNSで懲戒書をアップロードし、警察に呼び出された経過を詳しく述べました。

そして、2月7日に武漢市内の病院で亡くなっています。

 

李文亮氏はデマを流したどころか、人々の命を救おうと努力した英雄だったわけです。
死後、「白衣战士」(白衣の戦士)と呼ばれ讃えられています。

 

こんな英雄の名前で儲けようと企むのは人間の心がないと言われても仕方がありません。

「李文亮」「文亮」など4件の商標登録出願をしていた湖南省長沙市の電子商取引会社は出願を撤回し、李医師の遺族や社会の人々の心を傷つけたとする「謝罪文」を公表しました。

 

日本ではコロナ便乗商標出願は今のところ見当たらないようですが、デマを流す人は散見されますね。

台湾では物資が不足しているというデマを流した人が逮捕されていますが、日本でも最初にデマを流した人には然るべき措置をとってほしいところです(垢消しして逃げたそうな)。

それにしても、日頃Twitterを見ているとデマとまでは行かないまでも、かなり危険な主張はよく見ます。
特に多いのが、専門家でも無い人が断定した口調で言い切ることにより多くの人の賛同を得られている現象です。

専門家ほど「断定出来ない」ことはよくあります。

だから、良識ある専門家ほど「かもしれない」という発言をしがちですが、すると、一般人から見ると頼りなく見えるために、専門家でも無い人の「〜である」という主張が受け入れられてしまうということが起きてしまいます。

そして、デマでは無いもののそうした「個人の主張にすぎないこと」に賛同を得られた発信者は自分は正しいと勘違いし、さらに暴走します。

図解すると見やすさから共感されやすいといえますが、故意に省いているのか本当に知らないのかわかりませんが重要な部分が省かれており、誘導したい思想へ有利なように利用します。そして、間違いを指摘されると「専門家ではないので」と言って逃げます。

個人の意見に過ぎないことを揺るぎなき真実として流布することは、他者に迷惑をかけるだけでなく、発信者のメンタルにも悪影響を与えるので慎むべきことだと考えます。
日本でもデマの発信者に対し、然るべき措置が取られてもおかしくありません。