エリザベス・ホームズを知っていらっしゃるでしょうか。
彼女はスタンフォード大学をドロップアウト(中退)しており、19歳で起業、黒のタートルネックを何十枚も所有(ジョブズも黒のタートルネックばかりたくさん所有していました)し、31際にして資産は47億ドルを超えていることから、スティーブ・ジョブズの再来と囁かれ、アメリカでは伝説的存在でした。
TEDでスピーチもしています。
「私は先端恐怖症で注射が怖いの。だから人々のために痛くない血液検査ができる発明をして社会に貢献したい」と述べ、投資家から500億近い資金を集めていました。
しかし、先週アメリカでウォール・ストリート・ジャーナルが明らかにしたところによると、どうも彼女の会社セラノスはまともなビジネスをしていなかったようです。
*この記事も旧ブログのものです。実際に書かれたのは3年近く前です。
というのもエリザベス・ホームズが起業してから12年経っても彼女が主張したような技術は実現できておらず、胡散臭い技術ばかり。
FDAの検査にパスしたのは200のうちたった1つ。単純ヘルペスだけでした。
また、血液検査を依頼された時には、医療機器メーカーのベクトン・ディッキンソンのマイクロテイナー(又はその類似品?)にナノテイナーという標章を付して使っていたようです。
ベクトン・ディッキンソンがセラノスに対し、マイクロテイナー商標を使うなと請求していたそうですが、セラノス側は「マイクロテイナー」は既に普通名称だから使うのは自由だ、と反論したとか。
でも、「マイクロテイナー」が普通名称だという主張は無理でしょう。
確かに有名商標ですが、普通名称になるほど浸透していません。
ディッキンソンは世界各国でマイクロテイナーについて商標登録を受けており、きちんと商標管理をしています。
まだ調べていないけどベクトン・ディッキンソンの特許権も侵害していたんじゃないのかな。
このようにエリザベス・ホームズの詐欺的行為が明るみに出たわけですが、彼女の行為により、投資家たちが情熱を持って起業する人への投資を渋ることになってしまいそうで怖いです。
研究開発にはお金がかかり、どんなに良いアイデアがあっても資金がなくては研究は進みません。
でもエリザベス・ホームズの前例があるので、投資家たちは結果を出したスタートアップにしか出資したくないと思ってしまうでしょう。
ということは、スタートアップはお金をもっていないのだから研究開発はできなくなってしまい、結果優れた会社になりうるスタートアップの芽が摘まれてしまうことになります。
日本では特にスタートアップへの出資を渋る投資家が多いので、この事件が起業家たちに悪い影響を及ぼさないように祈るばかりです。
ところで、エリザベス・ホームズが開発しようとしてできていなかった「痛くない注射針」についてですが、日本の岡野工業株式会社が既に技術を開発しています。
岡野工業株式会社は小さな会社ながらも素晴らしい特許技術により業績は上々。
まさに知財経営のお手本のような会社です。
テルモの技術も素晴らしくて、私は昔、株を買ったのだけど、株価は上がるばかりですw
株主優待は一度も利用したこと無いけれど、お勧めの株ですよ・・・ってこのブログは問題解決と知的財産権をテーマにしているはずなのに、株のネタが多いなぁw
ちなみに、ウォール・ストリート・ジャーナルのエリザベス・ホームズの記事を読むためにElizabeth Holmes、Wall streat journalで検索するとWall streat journalのリポーターのElizabeth Holmesさんの記事が上の方に出てきます。
同姓同名だけど別人ですよ。