元アイドルの41歳女性が21歳の大学生と駆け落ちしたとネットで話題になり、さらにはテレビでも放映されています。
美穂さんの夫の徳永数馬さんや長女の実名も報道されています。
この事件では、過去にアイドルだったとはいえ、現在は一般人である女性についてだけでなく、駆け落ち相手の21歳の大学生の実名や大学名や学部名などあらゆることが当該女性の三男のSNSへの投稿によって暴露されています。
この行為は非常に軽率です。
確かに、捜索願を出すときには警察へ実名の開示が必要になります。
しかし、インターネットで情報を拡散してしまうと、情報は瞬時に世界中に広まってしまうため、個人情報の取扱には十二分に注意しなければいけません。
この三男の行為は自らの首を絞めるほど軽率な行為だったと言わざるを得ません。
人を探しており、情報提供を望むのなら、その人の年齢や背格好だけを書けばいいはずです。
母親や一緒にいると思われる人の実名や大学名まで書く必要はありません。
というか、書いてはいけません。
母親が戻ってきづらくなるとは考えなかったのでしょうか。
こんなに話題になってしまったら、「生き恥を晒すくらいなら」と母親が大学生と心中してしまう可能性だってあります。
さて、このブログの主題である知的財産権についてですが、この事件については、テレビでもツイッターでも著作権侵害行為が横行しています。
まず、最初に失踪女性と大学生の写真の著作権です。この写真は捜査に協力するわけではない全くの無関係者によってネット上で複製権(著作権法21条)を侵害されています。
もちろん著作権法には時事の事件の報道のための利用(著作権法41条)は許されています。しかし、それはあくまでも「報道の目的上正当な範囲内において」です。
面白おかしく顔写真を晒してやろうという行為は著作権の侵害となります。
それから、大学生が女性に宛てたラブレターも公表されていますので、公表権(著作権法18条)の侵害になります。
*ラブレターのような手紙にも著作権は存在します。
くわしくはこちらで説明しています。 手紙を他人に見せると著作権の侵害になる?
もしラブレターを読み上げていれば口述権(著作権法24条)の侵害になりますし、上記すべての行為は公衆送信権(著作権法23条)を侵害しています。
今回の事件では、もちろん子供の奨学金を勝手に引き出してしまった母親にも罪はありますが、母親とその恋人の個人情報を晒した家族や一般人の事件をワイドショーのように扱ったり手紙を公表してしまったテレビの罪も大きいでしょう。
一番救いようがないのが、こういう他人の家族の”面白い”事件をネタにアクセス数を稼ごうとして写真やラブレターを暴露するサイトの運営者の恥知らずな行為でしょう。
この件については女性と大学生が可哀想なので、インターネットの検索結果から関連情報を削除してあげてほしいところです。
最後に念のため。
「ネットで拾った画像」だからTwitterで呟いてもいい、なんていう法律は存在しません。
みんなが呟いているその画像には著作権が存在します。
Twitterは匿名でする人が多くその匿名性を売りにしているとはいえますが、だからこそ、フェイスブックでは発言出来ない他者への誹謗中傷や著作権侵害は控えたいものです。