NAVERまとめの終了と改正著作権法

キュレーションサイト「NAVERまとめ」が9月末に終了することになりました。
NAVERまとめ サービス終了のお知らせ

まとめサイト(キュレーションサイト)に関しては、何年もの間、著作権の侵害が問題視されてきました。
11年もの間運営されてきてアクセス数も桁違いだった当該サイトが閉鎖されることになった背景には著作権法の改正がありそうです。

すなわち、ネット上に無断でアップロードされた漫画や書籍などを含む全著作物を、違法と知りながらダウンロードする行為を違法化する改正著作権法が6月5日、参議院本会議で可決、成立しました。(2021年1月1日に施行)

(画像は文化庁ウェブサイトより)
画像にも書かれているように、違法にアップロードされた著作物へのリンク情報が集約されたリーチサイトが規制されます。
もちろんNaverまとめの記事全てが違法となるわけではありませんが、「ヤバい」記事はたくさんありますし、投稿者に今更やっていいことと悪いことを周知させ書き直させることも困難なことから、責任を取らされる可能性の高いNaver自体を止めるという判断がされたのでしょう。
(リンクを貼る行為一般が侵害となるのではなく、「類型的に侵害コンテンツの拡散を助長する蓋然性が高い悪質なものに限定して規制の対象」となります)

リーチサイトの場合、『はるか夢の址』事件で運営者らが実刑判決を受けたように、違法画像をアップロードした人でなく(アップロードした人を特定出来たらその人も。またリンクを貼った人も)、運営者が責任を取らされます。Naverが一番恐れたのはこれだと思います。

これまで違法の対象とされていたのは音楽や映像だけでしたが、改正後は漫画や書籍、論文、ソフトウェアのプログラムなど、全ての著作物に適用範囲を広げることになります。
したがって、著作権者の利益に影響を及ぼさない「特別な事情がある場合」などは別として、インターネットユーザはこれまで以上に著作権に気を配らなければいけません。

ここ最近はSNSでの個人による著作権侵害が看過できないレベルまで行われていると考えられることから、インスタグラムやTwitterを利用している人は、著作権侵害をしないように十分に気をつけてください。

といっても著作権侵害はとても魅力的ですから止めたくはないでしょう。
自分では何もコンテンツを生み出さず他人の成果にタダ乗りするだけで簡単にバズることが出来るのですから。
他人が時間をかけてまとめたデータ、表、画像 テレビの画面、雑誌の1コラムをパクるのは一瞬です。
それらを、「拾い画だからいい」という謎理論で利用出来るのなら楽ですよね。

でも、著作権侵害者にとっては「楽で楽しいこと」でも、著作権者からしてみれば許し難いことです。
また、著作物を盗用されたことによってショックを受けて創作を止めてしまう人もいます。
そんなことが起きないように(=自分が将来も他者の創作によって楽しめるように)、最低限のルールには従うようにしましょう。

なお、他人の著作物をダウンロードしたり利用することが即著作権侵害になるわけではないのでそこまで怖がる必要はないでしょう。たとえば上述した「特別な事情がある場合」には問題がないのですから、むしろ積極的に著作物を利用したほうが文化の発展に寄与します。

他にも、元ネタが何か誰にでも瞬時にわかるほど有名な作品については、元の作品のイメージを汚さない限りパロディは認めても良いでしょう。(たとえば、「ドラえもん」の「可愛い、面白い」というイメージを保ったままのパロディはOKだが、ドラえもんに「グロい、気持ち悪い」改変を加えた場合はアウトかなぁ思います)

また、二次創作に関しては規制されるわけではないのでそれほど恐れることはないでしょう。

著作権を大切にすることは「文化を萎縮する」ことには繋がりません。
過度に何でもかんでも規制することが文化に悪影響を与えるだけですので、正当な権利は主張出来るのが正しい社会の在り方でしょう。

同時に、他者の権利を尊重するのは知的財産を大事にする国では当然です。
知財関係者は特にそうですが、有識者や実名垢の人は一度著作権侵害をしてしまうと、「著作権侵害をしていた人」とのイメージがずっとついてまわるので、絶対に著作権侵害をしないように気を使うべきです。また、損害賠償請求をされることを考えたら、匿名垢でも今のうちに黒歴史は消しておいた方が無難です。