外的付加と内的付加

弁理士試験受験生の皆さん、「内的付加」と「外的付加」ってご存知ですか?
意外と知らない方がいらっしゃったので説明をしておきます。

「内的付加」と「外的付加」とは、補正や訂正、それから利用(特許法72条)のときに関連してくる用語です。

まず、『外的付加』とは、請求項に記載された発明の発明特定事項(構成要素)に、新たに別の発明特定事項を追加する補正のことを言います。
(特許請求の範囲には記載されていない構成要素を加えることになりますが、明細書や図面には記載されている必要があります。)

たとえば、構成要素A+Bからなる発明に対して、これらに別個の構成要素Cを加えることを言います。
(たとえば、「足と背もたれからなる椅子」に「肘掛け」を追加する)

 

次に『内的付加』です。
たとえば、自転車本体に取り付けられたハンドルを特定形状のハンドルに限定するような付加は、内的付加と言われます。
(下位概念化など。たとえば、「足と背もたれからなる椅子」を「足と特定形状からなる背もたれからなる椅子」にする)

最後の拒絶理由通知を受けた際に補正は内的付加に限定されていますが、この理由は「既に行った先行技術文献調査の結果を有効に活用して迅速に審査を行うことができるため」とされています(青本)。拒絶理由の対象である請求項に想定外の発明特定事項が追加されるために審査のやり直しになってしまうのを防ぐ目的です。

ところで、短答あるあるなのですが、訂正の場合には内的付加に制限されていません(特許法17条の2第5項と126条第1項、134条の2第1項を参照)。
短答が苦手な人はここをしっかりと読み比べてみてください。

特許庁審査基準によると、以下のような補正は内的付加とされています。

(i) 択一的記載の要素を削除する補正

(ii) 発明特定事項を直列的に付加する補正

(iii) 上位概念から下位概念へ変更する補正

(iv) 多数項引用形式請求項の引用請求項を減少させる補正

(vi) 発明特定事項が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な発明特定事項をそれぞれ限定して複数の請求項に変更する補正