芸能人の写真をブログやSNSで使いたいと思うことは多いと思います。
ファンならかっこいい・キレイな芸能人の写真をみんなとシェアしたいと思うのは当然ですし、ファンでなくても、芸能人の写真を使うだけでブログに人を呼び込めるので使おうと思う人はたくさんいます。
実際、芸能人の写真を無断で使っているブログやSNSの投稿はたくさんあります。
しかし、中には芸能人の事務所の人から注意を受けて記事を削除させられた人もいますし、損害賠償請求をされる事態にまで発展してしまった例もあります。
したがって、違法なことはしないのが原則です。
しかし、何が違法で何が違法で無いのかの判断は難しいでしょう。
そこで、具体例を示しながら法的に正しく説明したいと思います。
なお、既に芸能人の写真をブログに使っていて「もしかしたらまずいことをしているかも・・・」と心配な方はご相談ください。弁護士を紹介いたします(お金なんてとりませんから安心してください)。
まあ大丈夫だろうと放っておくと、ブログの運営期間が長いほど、莫大な額の損害賠償を請求されてしまいます。
ブログでの収益が簡単に吹っ飛んでしまうので、お気をつけください。
よく、「著作権の侵害とはならないと書いてあったから使った」という人がいますが、何に書いてあったのか聞いてみるとツイッターのつぶやきだったりアフィリエイターの書いた著作権法の説明記事だったということがよくあります。
そのような専門家でない人たちが他のサイトから切り貼りして集めて書いた記事を信頼して法律違反をしてしまっても誰も助けてはくれないので、情報を発信している人が専門家かどうかを見極めてからその情報を信じるようにしましょう。
また、将来のビジネスの発展のためにも知的財産に関する法律を効率よく学びたいと考えている方は、私のサイトで学んでください。
芸能人の写真の権利【著作権?肖像権?】
さて、そもそも芸能人の写真の権利とは一体どのようなものなのでしょうか。
まず、芸能人ではない一般人の顔を勝手に写真に撮り、ブログなどにアップロードしてしまうと、肖像権を侵害することになってしまいます。
この肖像権とは、無闇に自分の顔を利用されないという誰もが持つ当然の権利です。
社会生活を送るうえで人々が我慢すべき限度(受忍限度)を超えている場合には違法、受忍限度以内なら適法です。
受忍限度と言っても抽象的な言葉でわかりにくいでしょうから具体例をあげてみると、写真を撮られた人が何をしていたのか(ただ歩いていたのかキスをしていたのか等)、撮影の必要性などを総合的に判断(裁判所で)することになります。
よく、カメラマンが京都や浅草のような観光地で着物や浴衣を着た一般女性を無断で撮影したりしていますが、これは許されません。
普通に考えて自分の写真を勝手に利用されるのは気持ちが悪いですよね。
ですから、自分の顔が写っている写真を勝手に使われた人は止めろということができます。
ただし、単に映像に写り込んでいる場合(竜巻の写真を撮ったときに隅っこに写り込んだ等)には問題とならないことが多いでしょう。
一般人の写真を撮った場合には、その写真をSNSの出会い系アカウントに使ったり写真コンテストに勝手に応募したりすると写真を使われた人から損害賠償請求をされることになります。
では、芸能人の場合はどうでしょうか。
芸能人の場合は、誰もがその肖像を撮りたくなってしまいます。
たとえば、新宿で買い物をしていたら、アイドルの○○ちゃんが歩いているのを見かけたとします。
ファンだったら、いえファンでなくてもちょっとミーハーな人だったら、写真を撮っておこうと思ってしまうのではないでしょうか。
アイドルや芸能人に興味が無い人でも、有名なアスリート(スポーツ選手)や棋士を見かけたら、写真を撮っておこうと思ってしまうでしょう。
一般人の写真を勝手に撮ることはいけませんが、街で見かけた有名人の写真をスマホやデジカメで撮ること自体は問題無いでしょう。
個人的に楽しむために、「ラッキー♪」と思って携帯の待受にしてしまっても良いでしょう。
たまに芸能人がSNSなどで「勝手に写真を撮らないでほしい」と不快感を露わにすることがありますが、芸能人であるからには無断で写真を撮られてしまうことはある程度我慢しなくてはいけないのです。
それがタレントや歌手の商売の一部なのですから。
(といっても本人が「やめてください」と言っているのに写真を撮るのはよくありません)
しかし、撮った写真をSNSやブログなどで発信することは好ましくありません。
なぜなら、インターネットにアップロードしてしまうと、簡単にその写真が広まってしまうため、意図しない使われ方をする恐れがあるからです。
したがって、芸能人の写真を撮るだけならば合法。
撮ったその写真を個人的に携帯の待受にするなどして楽しむ以外の方法で利用(たとえばTwitterでつぶやくなど)は違法となります。ただし、たまたま一回だけ呟いたくらいなら大丈夫でしょう。
判例としてはマーク・レスター事件やおニャン子クラブ事件が有名です。
なお、いくら芸能人といっても、プライバシーは尊重すべきですので、たとえば旅館やホテルに泊まっているときにホテルの従業員が写真を勝手に撮るという行為は控えるべきです。
特に、「うちの旅館に芸能人の○さんが来てくれました!」と許諾も得ずにブログに写真を投稿してしまうとパブリシティ権の侵害となります。
このパブリシティ権というものは芸能人のように「肖像自体に価値がある人」に認められる権利です。
詳しくはリンク先で説明しています。
簡単に説明しておくと、芸能人の持つ顧客吸引力を無断で使って商売に利用していることになるので、高額の損害賠償請求をされちゃうよということです。
コンビニでバイトをしている人が「うちのコンビニには芸能人の○○さんがよく来るよ!」と写真と共にTwitterで呟いたらその責任はコンビニ経営者にも及びます。
お店やセミナーのちらしやPOPに芸能人の写真を使っていい?
このような行為は当然に禁止されています。
やっている人は多いのですが違法行為です。
自分が撮った写真ではなくネットや雑誌に掲載されていた芸能人の写真を使ったら?
歌手やタレント等の所属事務所の許諾なく、芸能人の写真が載っている雑誌をスマホで撮影してブログにアップしたり公式サイトから画像をダウンロードして勝手にアップロードすることは芸能人のパブリシティ権の侵害及び写真を撮ったカメラマンの著作権の侵害となります。
なお、写真だけでなく動画(テレビで放映されたものやDVDなど)の利用も同じです。
隠し撮り写真や無断撮影した動画を販売している業者は数多くいますが、違法な行為です。
また、無断で芸能人の写真をサイトにアップして荒稼ぎをしている人たち(ブロガーやアフィリエイターなど)は多いですが、漫画村と同じように悪質なサイトを運営している&恥ずかしい行為であることを認識しなくてはいけません。
損害賠償請求をされたら今まで稼いだ収益は吹っ飛んでしまいます。
芸能人の写真じゃなくて似顔絵なら掲載してもOK?
写真そのものを使うのがいけないなら、似顔絵にすればいいだろうと考える人も多くいます。
しかし、そのような行為は危険です。
たとえば、AKB48のメンバーの似顔絵をその名前と共にブログに載せるとパブリシティ権の侵害となります。
ただし、もとにしたタレントの名前は示さずにあまり似ていない、誰を描いたのかわからないような絵をアップするのなら大丈夫でしょう。
タレントの写真を加工したものをブログにアップしてもいい?
芸能人の写真を無断でブログに掲載したりツイートすることは禁止されているのですから、勝手に加工したり配布するという行為も許されません。
特に女性アイドルのヌードのコラ画像を作成した場合には損害賠償額は非常に大きくなるでしょう。
アイドルのグッズを買ったけど違法に販売されたものだったら
コンサート会場の外の外の露店で生写真やグッズを売っている人たちがいますが、その人達のほぼ全てが無許諾でグッズを販売しています。
つまり、アイドルや歌手の名声にタダ乗りして儲けているのです。
こんなグッズを買ってもアイドルのもとへは一銭もお金は渡りません。
ファンであるならば公式グッズを買いましょう。
公式グッズの場合は著作権表記(©など)がされています。
ラミネート加工された商品などは見栄えは良いですが違法グッズの可能性が高いといえます。
メルカリなどネットオークションで買うときにも偽物を掴ませられないように注意しましょう。
また、偽物を販売している人がいたら通報しましょう。
なお、K-POPではマスタニムがグッズを販売していることがありますが、その大半は許諾を得ていない違法グッズです。
ファンならばそのようなグッズは絶対に買うべきではありません。マスタニム一人がボロ儲けしているだけです。
芸能人の肖像権と著作権[まとめ]
芸能人の肖像には一般人の肖像よりも高い金銭的価値があります。
したがって無断で利用(ブログにアップする。インスタグラム等SNSに投稿する。お店のチラシに利用etc…)することはしてはいけません。
特にアドセンスなど広告収益を得ているサイトに載せたりお店の宣伝につかうと高額の損害賠償金を請求されてしまいます。
芸能人のパブリシティ権や著作権を侵害すると簡単にお金儲けができますが、それはその人の商才とは関係なく、芸能人の名声にタダ乗りした違法行為であるということを認識しましょう。
数年商売を続けてからある日突然高額の損害賠償請求をされるということもありますから。
俳優の顔を写真と間違えるぐらいにリアルに鉛筆で描いている動画が、YouTubeに投稿されています。かなりの再生数で、コメントでは多くの人からの称賛があります。ただし広告もついていますので、ある程度収益も上げていると思われます。
しかも元の写真に関する詳しい表記もありませんので、おそらく写真を許諾なく使っているのではないでしょうか。このような場合、描かれている俳優のパブリシティ権の侵害には当たらないのでしょうか?
仰る通り、パブリシティ権の侵害に該当します。ただし、一般のブログなどでアイキャッチとして使われるような使われ方とは異なり、俳優側としては喜んでいる可能性もあります。見逃している場合には表面的には権利侵害となりますがトラブルとなることはないでしょう。
早速のご返信ありがとうございます。
著作権や肖像関係の権利ですと、元になる側の財産や人格が守られる事が主旨で作られていると読んだことがあります。
相手にとって喜びが生まれるのであれば、何もかも法で縛られるものではないということなのでしょうね。
内心予想はしていたものの、ずっと引っ掛かってた問題でしたので、大変スッキリしました。本当に感謝です!
説明を受けてすっと理解出来ることから、バランス感覚に優れた方ですね。著作権法は他の法律とは異なり、卑近な法律です。誰もが簡単に著作権侵害をする虞れを秘めているため、何もかも全てを厳しく取り締まるのは現実的ではありません。
もちろん権利者に何のメリットもない使い方は言語道断ですが、これは複製権の侵害だからアウト!といったように型にはめて考えてばかりでは息苦しくなってしまいます。
文化の発展という法目的(第一条)に沿っているかどうかを考えながら身近な例を考えてみるのが一番だと思います。
初めまして、少し個人的な話ですが気になった事があるのでコメント失礼致します!
自分は現在、youtubeアカウントでとあるゲーム実況者の方(事務所に所属されている方です)の写真をアイコンにさせて頂いております。そのアイコンにしている写真は、その方がゲームの大会の公式放送(youtubeで放送されていました)に少しの時間顔だしで出演された際のスクリーンショットです。
そして自分はこのゲーム実況者の方がとても好きで、この実況者の方がやっているYouTubeの生配信やアーカイブ、投稿した動画等によくコメントを残しています。その際に何度も自分のアカウントをその実況者の方に見られており、実況者の方は自分がその方の顔をYouTubeのアイコンにしている事を知っておられます。(実際、YouTubeでコメントした際によく自分のコメントを読んでいただけているので、少なくとも「俺の顔をアイコンにしている人がいる」という事はその実況者の方は確実にご存知なんです。)
また、その実況者の他のファンの方も、YouTubeやTwitterなどSNSのアイコンをよくその実況者の方にしていたり、Twitterにその方の顔写真を多く載せています。
そして自分を含め、その方の写真をアイコンに使用させて頂いる人達は今までその配信者の方本人に「SNSのアイコン等で俺の顔を使わないで」等は言われた事はありません。「俺の顔アイコンにしていいよ」とか許可を出してくださっている訳ではありませんが、咎められた事も無いため言わば二次創作のように黙認して下さっている状態なんだと思います。
そんな中、最近になって自分にYouTubeコメントの返信で「そのアイコンの顔写真、本人に許可を得たんですか?権利の違反になりますけど」と言われる事があります。
自分の中ではグレーだとは思っていますが、その実況者の方が黙認して下さっている状態だったのでずっと半年以上この方の写真をアイコンに使用させて頂いております。
もちろん、この方の顔写真を使用したアカウントを金銭的な目的や誹謗中傷等で使用した事は一切ありません。ただ単にYouTubeを見る為だけのアカウントのアイコンに使用しております。
こう言った場合は、私はこのままその実況者の方の写真をアイコンに使用していて良いのでしょうか。何かしらの権利を違反しているのでしょうか。勿論、その実況者の方ご本人がやめて欲しいと言えば直ぐに変えるつもりです。
また、もしこの方の顔写真そのままをアイコンにする事がいけないのであれば、その方の顔写真を自分でイラストにして(描く場合はトレスではなく模写の方が近いです)、YouTubeのアイコンにしようと考えております。このような場合はどうなるのか、権利を違反しているのかどうか等を教えて頂きたいと思っております。
長文で申し訳ありません、良ければ返信お待ちしております!
表面的には権利侵害となります。
たとえばアイドルや芸能人、モデルなどの顔写真を勝手に自分のSNSアイコンに使ったり、画像や動画をアップすることは、たとえ金銭的利益を受けていなくても違法です。また、著名人の著名性に便乗している下品な行為ですので厳しい指摘が入るのも仕方がないことでしょう。なぜなら、そうすることによってアクセスを稼ぐことができ、フォロワーが増え、利益を享受することが出来るからです。
ただし、今回の例ではご本人が黙認されている可能性があります。
通常、著名人は一般人に対し容易に自分の写真や動画の使用許可を出すことはありませんが、ファンが自分の写真をアイコンにして楽しむ行為まで禁止したくはないはずです。
もちろん明示の許諾があったわけではないので絶対に安全とは言えませんが、Youtuberの方がそれを嫌がっているとも思えません。
その方の写真や動画をSNSでアップするようなことをしたら行き過ぎですが、アイコンにして(もちろんご本人のアイコンとは明確に区別できる別写真を使って)応援する程度なら許容範囲内と考えます。
従いまして、「行き過ぎ」とならないように注意しつつ、著名人の写真をアイコンに設定し、その方へコメントをし応援する行為は続けられても問題は生じないと考えます。
ただし仰られているように、もしもご本人から止めるように言われた場合にはすぐに使用を中止すべきです。
わかりやすいご説明ありがとうございました!少し考えてみようと思います!
なお、抽象的な質問に対して抽象的にお答えしただけですので、具体的な事例を以て相談を受けた場合には違う結論に至る可能性があります。実際にどんなことが行われているのか見たわけではありませんのでこの助言があるから法的問題はクリアとはお考えにならないでください。
インスタグラムとかに公式アカウントが掲載してる写真を加工して掲載しているのも、違法にあたりますか?
公式が許可を出している場合もありますが、写真加工の許可までは出していないでしょうから違法です。
Instagramで2万人くらいのフォロワーの方で海外のムキムキな人たちのトレーニングの動画を載せてトレーニングの解説をしている方がいます。その方はInstagramに自分のnoteに誘導するサイトがあり、おそらく収益は出ているのだと思われます。これらも違法にあたるのでしょうか?
トレーニング動画制作者たちから許可を得ずに勝手にやっているのだとしたら、著作権侵害行為になるかと思われます。