100日後に死ぬワニの追悼と著作権

ツイッターで爆発的に人気が出た『100日後に死ぬワニ』(きくちゆうき・作)が昨日最終回を迎えました。
きくちゆうきさんのフォロワーは100日の間に200万を超え、ツイッターでは異常な盛り上がりを見せていました。

本当の最終回の前にはきくちゆうきさんの偽物による偽最終回が出回るなど、話題性には事欠かずにいましたが、最終的には題名通り100日後にワニが死んで終わりを迎えました。

ファンは感動し、「感動をありがとう」リプがツイッター上を駆け巡りましたが、そのすぐ後に、きくちゆうきさんから「書籍化決定・映画化決定・グッズイベントなど続々」という告知があり、ファンの間では喜びよりも「あれ?」という反応が多かったようです。

特にリンク先の100ワニ追悼POP up SHOP inロフトでは、キーチェーンやゴーフレットなど既に多くのグッズが用意されていました。

短時間でこんなに用意できるわけはないので何だこれはと思ったら、裏に電通がいたとのことです(ツイッター情報なので本当かどうかわからないが、途中から広告代理店が絡んできたと自然に考えられるほどのグッズ量&クオリティの高さ)。

私が気になったのは上記追悼ショップの文言です。

SNSで大反響をよんだ、話題の作品 『100日後に死ぬワニ』の追悼POP UP SHOPがロフトで開催! 在りし日のワニを偲び、アパレルや文具等多数の商品をとりそろえました。ワニへのメッセージを描いて満開の桜の木を作るといった参加型イベント、描き下ろしをはじめとしたイラストの展示などの企画も盛りだくさん!!この機会に是非足を運んで、思い出に残るワニのグッズを見つけて下さい。
(注)開催日程や企画の内容については予告なく変更・中止となる場合がございます。予めご了承下さい。
(注)購入制限:お一人様各点3個まで。ブランド商品はコンプリート種類を上限(例:全8種の場合は8個まで)

”ワニへのメッセージを描いて満開の桜の木を作るといった参加型イベント”って、やらされ感があります。

ゴッドマーズ※』かよ!とツッコみたくなりました。

※ゴッドマーズ・・・『六神合体ゴッドマーズ』主人公マーズのイケメンの兄マーグが作中で死んだときに、ファン(今でいう腐女子たち)によって葬式が開かれた伝説の作品。なお、葬式はファンが自主的に開いた

それから注意書きの「購入制限。ブランド商品はコンプリート種類を上限(例:全8種の場合は8個まで)」というのも買わせる気満々な感じがします。

 

我が家には各種アニメ・ゲームフィギュアが山のようにあって、グッズを集めるのは好きなのですが、ワニ君グッズに関しては違和感を覚えました。

「踊らされていた感」が強いからでしょう。

これが、最終回から100時間後の追悼ショップオープンだったら、ずっと良かったと思います。たとえ計画されていたものだったとしても、踊らされ感は相当減りますから。
最終回の投稿から1時間後の追悼ショップオープン(しかもグッズの品揃え完璧)は、「みんなが話題にしているうちに宣伝しておこう」との腹づもりなのでしょうが、あまりにも早すぎて、広告を嫌うユーザーの気持ちを萎えさせました。

途中まで素晴らしい広告だったのに最後の最後で勇み足になったためにユーザーの離脱を誘発してしまうという非常に勿体無い例だったと思います。
これによって、作者のきくちゆうきさんも、99日目までは「100日後に死ぬワニの人」というポジティブなイメージで捉えられていたのに、100日目にして「商売に加担していた人」みたいなネガティブなイメージになってしまい、これは可哀想だなと思いました。

ちなみに、なんで商売が駄目なのかわからない。無料で見せてもらったのだから作者が責められる言われはないというような意見もあると思いますが、クリエイターに無料で働けと言っている人はレアだと思います。
そうではなくて、マーケティングが下手だったので、がっかりしている人が多いのだと思います。

どうせお金を出すなら気持ちよくお金を出したいですからね。
連載が終わった途端に商売っ気を出してきたので、裏切られた感じがしてがっかりしている人たちが多いと思います。

マーケティングって難しいなぁとつくづく思いました。

 

ところで、無関係の人が勝手にきくちゆうきさんのアイコンを使って100日目の話をアップしていたことについては冒頭に述べましたが、他にもそっくりな絵柄で勝手に話も描かれています。これらの著作権侵害行為については広告主側はどのように考えていたのか気になります。
きくちゆうきさんのアイコンをそのまま使ったり絵柄がそっくりなため公式と勘違いして「これが100日目か」と信じてしまった人もいることでしょう。

ツイッターは著作権に関しては一種の無法地帯になっているのでこうした事例は多いのですが、やろうと思えば便乗して稼いだり本家より面白いことを書くことも出来るので、著作権に関しては公式から一言発表があってもよいのではないかなぁと思いました。

あ、そうそう、題名に著作権と入れましたが、今年の1月16日に商標登録出願もされています(企業との共同所有)。
100日後に死ぬワニの人気を見てこの頃に企業からタイアップの話が持ち上がったのかもしれませんね。