今月末に令和2年度弁理士試験論文式試験の合格発表があります。
受験者の方々は、ハラハラしながら結果を待っていることでしょう。
さて、受験生の中には、合格したら特許事務所へ転職しようと考えている方もいるかと思います。
落ちた場合には、論文合格するまでは特許事務所への転職は止めておこうという考え方です。
逆に、今回論文試験に落ちたとしても特許事務所へ転職しようと考える方もいらっしゃるでしょう。
どちらの考えを採っても良いと思います。
ただ、私が先日弁理士志望者の方から質問を受けたときには「とりあえず合格発表を待って、その結果にかかわらず特許事務所へ転職されてはどうか」とお伝えしました。
理由は以下の3つです。
➀既に短答試験に合格したので基礎力は十分にある。たとえ落ちても今年は論文の勉強だけに注力出来るので大丈夫。
特に、高得点で短答に合格した人は細かな規定も頭に入っているので、基礎固めと多少の判例の勉強、そして事例問題を解く練習を続ければ良いだけなので短答試験に比べると負担はずっと少ない。
➁知財とも研究開発とも無関係の仕事をしているため、早めに特許業界に飛び込んだ方が良い。
➂前途有望な若手が特許業界に来てくれると特許業界が活性化する。
3つ目はご本人だけのメリットではありませんが・・・。
同じような状況にいる方は、特許事務所への転職を考えてはいかがでしょうか。
ただし、特許事務所の選定には十分にお気を付けください。
未経験者を大切に育ててくれないところがあるのは事実なので・・・。
心配な方はお問い合わせください。私の知っている限りのことはお伝えします。
そうそう、ネットサーフィンをしていたら、面白いブログ記事を見つけました。
特許翻訳の方のブログです。
転職エージェントに勧められて大手特許事務所へ転職したものの、とんでもないセクハラ・パワハラ事務所で、最終的には弁護士に退職代行を依頼して辞めたという壮絶なお話です。
面白いという感想を書いては不謹慎ですが、生々しくて気持ちが伝わってくる文章でした。
コメントを書き込んでいらっしゃる方もいますが、どこの事務所か分かる人には簡単にわかってしまうでしょう。
良い事務所にだけ人が増えてほしいものです・・・。
受験生がどういう弁理士像を目指しているかにもよりますが
短答で50点以上取れるなら事務で即採用したいですね。
手続的な要件は合格すると頭から抜け落ちていくので(汗)
手続的な細かい要件まで暗記できる人材は貴重です。
大手になると「事務統括弁理士」とか「事務専門弁理士」
っていうニーズもありますよね。
特許事務は弁理士資格は無くても出来るので、受かってもあまりうま味が無いのかなと思いましたが、そういうニーズがありましたか!
上記の書き込みに対して私の意見は逆ですね。50点以上の点数取るような方は、法律には詳しいけど実務には詳しくないと判断します(もちろん実務も法律もよくご存知の方もいらっしゃいます)。技術者としては雇いたいですけど、事務としては決して雇いたくないですね。
そもそも実務と法律とがかけ離れているということが問題ですが、実務でやられていることを頑なに、青本とかまで出して反論される未来が思い浮かびます笑
特にPCTは、試験で覚える条文とか規則とかと結構手続き違いますからね。運用が条約に比較して大分ゆるいので、逆に実務をよく知っている人が試験受かりづらいのもわかります。実務的にはできることが枝では間違い、なんてことはほぼ毎年何枝かは見つかりますから。
>実務的にはできることが枝では間違い、なんてことはほぼ毎年何枝かは見つかりますから。
これは、わざと出しているのかなと思っています。実務家は根拠条文に頼らず感覚で解ける問題もありますが、根拠条文に頼らず感覚で答えるということは弁理士としてあるまじきことだからです。
既にPCTのお話が出ましたが正にその通りです。また、他には商標でも、実務家は審査基準にも目を通さず答えられる場面が多々あります。
5条の審査基準なんて知らなくても標準文字関連の問題なんて感覚で解けてしまうでしょう。
ところが、感覚で解くと×になる問題が紛れ込んでいます。
3条1項柱書の「自己の業務」なんて下手に実務を知っていると足をすくわれます。
また、要旨変更についてもたとえば総合小売のように実務ではまず目にしないような役務から特定小売への変更が要旨変更になると審査基準にありますが、これも審査基準を読んでいないとわかりません。
実務はOJTで覚えれば良いから試験では法律や審査基準、青本等の知識を試すよ。弁理士ならこれくらい知っておいてね、というのが出題者の意図なのかなと思っています。