幸福の科学の蓮見都志子氏のシリアの難民少女風刺イラストに対し、全世界から批判が殺到しています。
*この記事も旧ブログのもので、実際に書かれたのは3年近く前です。
上が蓮見都志子氏の風刺イラストで下がパロディを創られた「セーブ・ザ・チルドレンUK」所属の写真家ジョナサン・ハイアムズ氏の写真です。
著作権の二次的著作物の創作時によくある「真似した!」「いや、オマージュだ」「パロディだ」という反論はここでは出てくる余地がありません。
そのまんまトレースしているからです。
一人の漫画家の差別的な創作により、日本全体の印象を悪くしたという問題が生じていますが、まずは著作権の侵害とパロディ、フェアユースについて考えてみたいと思います。
ちょうどTPP合意で著作権侵害が非親告罪化したところですし(著作権保護期間70年って・・・。ショックです・・・)。
さて、この風刺イラストのようにパロディは原著作者の同意をもらって創る二次的著作物(著作権法2条1項11号)とは違い、原著作者の同意無しで創られます。
したがって、著作権法的には「アウト」な行為です。
しかし、それを厳密に貫いてしまうと、面白い二次的著作物が創られなくなってしまうことから、海外では「フェアユース」という考えに基づき、パロディを合法化しています。
しかし、実は法律で厳格に決まっているというわけではなくて、著作権者の気持ち次第という側面が強いのです。
例えば、フランスだったら、二次的著作物(パロディ作品)がユーモアに溢れるものだったらOKというように。
アメリカではパロディの性質と目的、原著作者の利益を不当に侵害しないか等の観点から判断します。
政治的なメッセージを含むもの、原著作者を貶めるようなものはアウトとなる可能性が高くなります。
ちなみに蓮見都志子氏の行為は立派な著作権侵害に該当します。
カメラマンも不快感を露わにしていますし、許諾を与えるわけがないので、訴えられたら100%負けます。
でも、もう当該イラストは削除されてしまいましたし、著作権のことで何か言われることはないでしょう。
日本でもフェアユース規定については昔からいろいろと議論されています。
その昔読んだ中山信弘先生の「著作権法講義」では、日本にもフェアユース規定を設けるべきだとの記載がありました。
学者の書いた本というよりも実務家の書いたような記載が多く良書でした。中山先生会心の一作です。
ちょっと古い本ですが、改めて読みなおす必要性を感じました。
さて、日本ではTPPへの合意から、著作権非親告罪化が適用されます。
すると、たとえばコミケで勝手にパロディ作品を創ることは著作権侵害となってしまいます。
ということは、コミケが崩壊してしまうということです。
しかし、そんなことになったら日本の文化は縮小してしまいます。
サイト記事の丸パクリやYouTubeの違法動画が減るということを考えたらプラスですが、同一性保持権(著作権法20条)の侵害が怖くていちいち著作者にお伺いを立てたり面倒な手続きを踏んでいては迅速に創作が出来ません。
確かに悪質なパロディもたくさんありますが、それ以上に文化の発展のためには著作物の自由な利用を妨げるべきではありません。
そこで、日本でも早急にフェアユース規定を設けるべきでしょう。
ところで、海外の人たちの日本への印象は、いまだにエキゾチックで怪しい国というイメージが強いようです。
中国と日本が混同されて認識されることなんて頻繁にあります。
それなら別にいいのですが、日本は「お金を出すだけ」の腰抜けだとか、ネトウヨが蔓延っているというイメージを持たれるのは日本にとってマイナスです。
何か良い方法はないのでしょうか。
戦地へ行って救援活動をすればよいのでしょうか。
そんなの現実的ではありませんよね。
そこで私が提案したい方法は、「インターネットを使って国際貢献をする」ということです。
日本ではあまり知られていませんが、クラウドの力を使って国際貢献をするという取り組みが世界的に行われています。
たとえば、Movements®
サイトの「success stories」をご覧になればわかるように、個人レベルのちょっとしたボランティアが人を救っています。
たとえば、思想を理由に捕らえられたイラン人が本を出版し、不当な逮捕の現状を世界に広めるために自分の本の翻訳者を求めるといったことがあげられます。
この場合、英語を始め様々な言語に訳されることにより、その人の思想が広まります。
また、翻訳だけでなく、ブックデザインをボランティアでするということもできます。
他にもちょっとしたことが国際貢献に繋がります。
個人情報は秘密にしてもらえますし、これなら日本にいながらパソコン一つあれば出来てしまう国際貢献です。
MOVEMENTSは残念ながら日本語で見ることは出来ませんが、まず、サイト翻訳から協力するのもよいかもしれません。
このようなサイトは他にもいろいろあります。
日本人はこういった情報を知らないだけです。
知ってさえいれば積極的な協力を惜しまない国民性があります。
ISISちゃんのパロディなんてとてもスマートな反テロ活動です。
ISISと検索すると残虐なISISの画像が現れてしまうところ、有志の投稿を募って、萌えキャラのISISちゃんの画像で埋め尽くそうとしています。
さすがにネタが尽きたのか日本人人質事件が一段落付いたからか最近はISISちゃんの投稿は少ないのですが、こういった誰も傷つけないけれどテロに反対する活動って賢いですね。
こういう問題解決の方法、大好きです。
一人ひとりの地道な活動や発言が積もり積もって日本という国の印象を決めてしまうことから、私達一人ひとりのちょっとした発言の重要性を認識しなくてはいけません。
その意味では、SNSを使用したり、掲示板に書き込むときも匿名の陰に隠れてテキトーな発言をしないように、自分の発言が他者を不当に傷つけないか考えてから投稿する癖を付けるべきです。
・・・というか、私はそうしています。
特に、人権にかかわる発言や政治的な発言は、炎上する危険性が高いので・・・。