*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。
良識のある本屋が売りたくない本といえば、少年Aの本「絶歌」があげられますが、ヒトラーの「我が闘争」も同じでしょう。
ヒトラーの死後はバイエルン州が著作権を有していましたが、2015年いっぱいで著作権が切れたことから2016年に出版された「我が闘争」。ドイツ国内では出版に関しては賛否両論あったといいますが、この本の注釈が付いたバージョンがかなり売れたとのことです。
IFZ(Institut fuer Zeitgeschichte)から出版された版は、原著が800ページ程度なのに比べ、1200頁もの注釈が付いています。
ドイツではヒトラーは悪とほぼイコールになっているため、出版するかどうかに関しては相当議論があったようです。
でも、私は注釈が付いた本が出版されたのは良かったのではないかなと思います。
出版で得た収益をユダヤ人の関係団体に寄付するなど適切な処置さえ取られていれば。
確かにヒトラーがしたことは許されることではありませんが、その思想を学ぶことは重要だと思います。
どんな考えがあんな残虐な行為に発展したのか想像できますから。
私は、ヒトラー関連の本を読み込んだことがありますが、実は、ヒトラーのすべてが悪だったわけではないんですよね。
親しい人たちにとっては良い人間だったそうです。
酒もたばこも飲まない、女遊びもしない、真面目な人だったそうですから。
私たちの身近にもそんな人間いますよね。
たまたま権力を持っていないから何もしないだけで、権力を持ってしまうと過激な思想を振り回してとんでもない暴挙に出てしまうかもしれません。
実際、ナチスの下で大罪を犯したアイヒマンはごく普通の人でしたし。
権力を持っても自己を制し続けることが出来る人なんてほとんどいないという人間の弱さを歴史が証明しています。
そんな人間の弱さを学び、二度と悲劇を繰り返さないためにも、注釈付きの我が闘争を出版したのは、良かったと思います。
歴史を学んでいない子供たちが注釈無しの我が闘争を読んでしまうのは危険ですから、子供たちが読むなら、純粋な「我が闘争」ではなく、まずはこの本を、と思います。
今回は著作権の解説ではなく、思想の話になってしまいました(^^;