星野源さんが5月28日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で、「あまり言いたくない話ではございますが、言ったほうがいい」と前置きし、「実はインスタに、星野源のANNの公式ホームページのブログの文章と写真を無断で転載している人がいるんです。」と無断転載をしているアカウントに注意喚起をしました。
「単刀直入に言うと消してください」「実際やっていることは迷惑」と、強めの言葉を使ったため、ネット上では「ファンに向かって迷惑はないだろう」という意見も出ています。
ただ、星野源さんにとっては、この発表は悩みに悩み抜いてのものだったようです。
というのも、熱心なファンが星野さんの画像や動画をネット上にアップロードし著作権や肖像権(パブリシティ権)を侵害していることに長い間悩まされていたからです。
いくら注意喚起をしても一向に改善されず、とうとうこの発表に踏み切ったという形です。
この発表における星野さんの発言は、著作権や肖像権(パブリシティ権)を考える上でとても参考になるのでハフポストの記事から引用します。
「『みんなやってるからダメじゃない』みたいになってるけど、例えばさ、テレビの画面を撮ってアイコンにしたりするって、本当はダメなことなんだよね。法律的にもさ。雑誌を撮って上げるとか、僕らが出したツイッターの画像を上げるとか、本当はダメなことなんだよね」と指摘した。
「このことに関して、僕一言も今まで言ってないから、今までやってる人たちは何も悪くありません」とファンを守った上で、「いい機会だから言わせてもらうと、僕は本当に申し訳ないですけど、嫌です」と告白した。
理由は、公式アカウントとの区別がつきにくいことだけでなく、ファンの感想をSNSで見る際に「(星野さんの写真では)どんな人か分からないのよ。その人の人間が知りたいんだよ、俺は」とした。
「『どうしても星野さんの顔載せたいのよ』と思ったら、絵がどんだけ下手でも描けばいいのよ。それはあなたの表現だよ。人間性を出せるとこだと思うんだよ」
ファンからの質問は「私は源さんのファンで、アイコンに源さんのお写真を使ってるのですが、源さんはそのことをどう思われますか。源さんが嫌ならやめようと思います。お気持ちをお聞かせください」という内容だった。
「でも、実際やってることというのは結構迷惑で。なぜかというと、ホームページを作ってる人とか、アップしてくれてる人とか、もちろんホームページを作るにしても、デザイナーさんがいて、それを組み立てた人がいて、みんながこのホームページに見に来てくれるから、一生懸命作ろうと思って作ってくれた人がいて。(中略)この公式ホームページを見てもらうのを、みんな目的にしてやってくれてるから
(太字は福田によるもの)
もうこれ、著作権だとか芸能人のパブリシティ権を考えるのに最高のやり取りだと思います。
まず、「法律的にいけないってなんとなく分かっていてもみんながやっているから自分もやってしまえ」という軽い気持ちで著作権等の侵害行為を行っています。
心当たりのある人もいるのではないでしょうか。
「これくらいいいよね」「もっと酷いやつはいるぞ」こういうことを言い続ける限り、侵害行為は無くならないと思います。
星野さんもこんな発表をするのは辛かったと思います。
星野さんレベルのアーティストになら言えますが、他の人が言ったら「生意気」「何様のつもりだ」と叩かれて炎上していた可能性もあります。
ファンあってのアーティストですが、そのファンに対し苦言を呈するということは、本当にやりにくいことだと思います。
しかし、勇気を出してご自身の考えを表明された星野源さんは素晴らしいと思います。
特にTwitter等SNSのアイコンについてはグレーゾーンで、「芸能人が駄目と言わない限りOK」という認識だと思います。
今回のように芸能人本人が「嫌だ」と言っているのならグレーではなくブラックになってしまうので、ファンなら今後は使うべきではありません。
アイコンに関しては、たとえばアニメの公式サイトなどで公式アイコンを配布していることもあるので、そんなものを使用すると良いのではないでしょうか。
「星野さんの顔を載せたい」というファンの言葉に対し、「どんなに下手でも絵を描けばいい。それがあなたの表現。人間性を出せる」というのもいいですね!
そのとおりだと思います。
上手い下手ではなく「私か。私以外の誰かが描いたものか」で良いじゃないですか(Rolandみたい)。
この告白後、放送中にファンがSNSアイコンを変更してくれたことに、星野源さんは「本当にいい人だねみんな。若干泣きそうです」と感激したそうです。
ええ話や!
なお、音楽ファン活動と著作権と現実的な解決策という記事を過去に書いたのでぜひ御覧ください。
ファンがやってはいけないこと。やっても大丈夫なことなどを法律解釈を超えたところまで説明しています。