音楽素材サイトMusMusの管理人さんが、ひょっこりはんに著作権侵害をされたことをブログで発表しています。

 

ひょっこりはんを知らない方のために念のため説明をしておくと、ひょっこりはんというのは吉本興業の芸人です。2018年になって人気が出ました。

ひょっこりはんはリズムネタを得意としており、sonorously boxという曲を利用しています。

 

このsonorously boxという曲は、MusMus管理人によって配布されている音楽素材です。

基本的に無料とされています。

 

しかし、著作権表記をしない場合には、著作権使用料を払うようにサイトに明記されています。

 

さて、ひょっこりはんとMusMus管理人による著作権を巡っての争いは、MusMus管理人さんのブログに経緯が書かれています。

以下、引用します。

 

2017年以前 当サイトの楽曲の使用が始まる
2018年4月初旬 規約違反動画について日清食品に確認、2次配布されていることが判明
2018年4月初旬 芸人側とコンタクト、後追いで規約に準じていただければ良い旨伝える
2018年5月末 楽曲が改変されて販売されていることに気づく
2018年5月末 上記抗議と販売停止を依頼
2018年5月31日本日 抗議から1週間何も進展なし

 

MusMusの管理人さんは、最初は表立たないように水面下でひょっこりはんに著作権侵害についての連絡をしていたようです。

しかし、誠実な対応を得られなかったために経緯を公表したようです。

 

ここで、著作権法について説明すると、「著作権者の表記をする」というのは、著作権者に認められた当然の権利です。

これは、財産権というよりも、人格権であり、著作権者の表記を怠ると、著作者の人格権を損ねることになります。

 

これについては、個人の方でも著作権(人格権)を侵害されて辛い思いをした人がたくさんいることでしょう。

 

たとえば、自分が描いたイラストをSNSで投稿したら、知らない人に勝手に使われた、とか、ブログの文章が違うブログに勝手に転載されていた、というような場合です。

(私のサイトの記事も、著作権法など知的財産権のサイトなのによく無断で利用されていました。

しかし、最近のブロガーさんはマナーが良い人が多く、引用の要件を守って引用してくれています。
企業や法律家でさえきちんとサイト名や氏名表示をしてくれないことがあるのに!)

 

 

さて、著作権者の表記についてですが、著作権法では、

「著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。」とされています。

 

これはどういうことかというと、たとえば、ツイッターのように文字数が非常に制限されている場合は、著作権者の表記をしていると表記できないから、省略しても良いということです。

また、お店でBGMとして音楽をかけているときも、著作権者表示ができないことから、著作者の表示を省略して良いということです。

 

これをひょっこりはんの場合に当てはめてみると、出来る限り著作権者表示はすべきだが、ネタをしているときに著作権者表示ができないときは省略しても良いと考えられます。

 

・・・とはいっても、著作権者表示をしようと思えばできるはずです。

 

たとえば、テレビだったらテロップで表示する、とかyoutubeやニコニコ動画のような動画投稿サイトだったら、隅っこの方に著作権者表示をしておく、というようなことができるはずです。

 

ひょっこりはんの場合(まあ、ひょっこりはん自身は著作権についてあまり考えておらずよしもと興業側が決めたのかもしれませんが)は、これらの表示を全くせず、著作権者の氏名表示をされるべき権利を侵害しました。

 

なお、MusMusでは著作権使用料を支払えば著作権者表記なく楽曲を利用できるとしていますが、ひょっこりはんの場合は更に悪質な著作権侵害を行っています。

 

それは、音楽を改変し、作曲者「ひょっこりはん」として他の企業に「フリー音源」として二次配布を行ってしまったということです。

 

音楽を改変することは、同一性保持権の侵害に該当します(著作権法20条)。

 

ですから、「元と違う曲を二次配布しただけだから大丈夫だろう」という考えは的はずれです。

 

ひょっこりはんの場合は、フリーで利用できる音楽素材サイトの利用規約を全く読まずに気軽に利用してしまったために問題になってしまっただけかもしれません。

 

しかし、MusMusには、利用規約が明記されているので、知らなかったという言い訳は苦しいと思われます。

 

なお、リズムネタといえば、ブルゾンちえみはオースティン・マホーンの「ダーティ・ワーク」を勝手に利用していました。

このおかげでオースティン・マホーンはCDがバカ売れしたので、ブルゾンちえみにお礼を言ったという経緯がありますが、今回はどれだけひょっこりはんで曲が利用されようとも、著作者の表記がされていないので、MusMus管理人にはなんの名誉もお金も入ってきません。

 

したがって、個人サイトの音楽だからと著作権を軽く見ることなく、他者の著作権の存在を重く受け止めて創作物を利用するように心がけたいものです。

 

もちろん、画像や文章の著作権も尊重しないといけません。