*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際の日付は2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。

 

米には高額な関税がかけられているため、日本のコメ農家は優遇されているようにみえます。
なのに、なぜ若者は農業に従事したいと思わないのでしょうか。

 

肉体的にキツイということもあるでしょうが、それ以上に、「既に農業は米の生産だけでは成り立たなくなっており、国が消えゆく火に息を吹き込むことによって生きながらえているだけの状態だ」ということが分かっているからなのではないでしょうか。

 

今の若者はお金のためだけには働きません。

仕事に生きがいを求めているのです。
その生きがいが、「過保護な農業」にはありません。

 

確かに政府の言うように食料自給率をある程度維持することは大事です。
ですから日本にコメ農家の数は一定数必要でしょう。

 

しかし、何のための食料自給率でしょう?

 

食料を輸入に頼ることは出来ないとは、すなわち他国を敵に回してしまった状態です。

もしそのような状況に陥ったら、産油国でない日本は、まず石油の枯渇に苦しめられます。
そして、石油が無いということはそもそも田畑を耕すトラクターを動かすことが出来ないということに他なりません。

 

すると、結局米を作ることはできません。

 

食料自給率だけを見ていても問題の解決にはなりません。

 

ですから、日本の農家は食料自給率なんて気にせず攻めの農業で儲ける道を模索すべきです。

 

「とりあえず細々と生きていければいい」のなら国に頼っているだけでもよいでしょう。

 

しかし、「国の保護が打ち切られるのではないかとびくびくしながらではなく主体的に働きたい」と思うのなら、攻めの農業に転じるべきです。

 

そして、その方が、下手に国に頼って生きているよりも楽しく仕事をすることができるでしょう。
それこそ若者たちの求めている生き方です。

 

確かに責任は重大ですし、リスクはあります。

 

しかし、既に立ちいかない制度に甘えて農業を続けるよりもよほど意義があるのではないでしょうか。

いまこそ攻めの農業に転換すべきときです。

 

 

さて、「じゃあ、攻めの農業に転換するにはどうしたらいいの?」との疑問がわいてくるでしょうが、

これに対しては
「ブランド力をあげる」のが方法の一つだと答えておきます。

 

土地が狭い日本では薄利多売型の農業は向きません。

高単価高付加価値の農産物を生産しなくてはなりません。
場合によっては狭い土地であることを逆に利用してしまいます。

 

そして、高単価高付加価値の農産物を作るためには、どうしてもブランド力が必要なのです。

 

このブランド力とは知的財産のひとつです。

私が言うブランド力とは、知的財産にかかわる法律を知らない人が言うブランドとは違います。
私の専門である法律面の話も含めたものです。

 

ブランド力さえ高ければほどほどの商品でも目の飛び出るような値段で売買されているというのは服飾品のブランドを見れば簡単に理解できるでしょう。

 

このブランド力をあげる方法はいろいろあります。

 

一つには「日本のここでしか手に入らない」農産物を作ることです。

 

このような農産物を作るには数か月という短い時間軸で考えてはいけません。何年もかけることをまずは覚悟すべきです。

 

このような「ブランド農産物」は国が一丸となってすることではありません。

 

だからといって自分一人だけで頑張ることでもありません。
いえ、もちろん自分一人だけで頑張ることもできますが、仲間も巻き込んだ方が効果的です。

 

地域で一丸になって頑張るのがベストでしょう。

 

そこで役立つのが地域団体商標GI制度です。

 

これについてはリンク先のメインサイトで詳しく述べているのでぜひ読んでみてください。
私が監修したパンフレットが行政機関から発行されているので、そのような冊子をご覧になってもよいでしょう。
面倒な法律の話も多いのでわかりにくいかもしれませんが、そのときはどうぞ私に直接ご連絡ください。

 

ブランド力をあげる2つ目の方法は「日本ブランドを最大限に活用する」ということです。

 

これは、海外輸出を軸に置いた場合に特に重要なのですが、既に日本には「高品質・安全」という良いブランドイメージがあります。
日本人だって、「国産」というだけでつい選びたくなってしまいますよね。

 

外国の人たちにとってもこの「日本ブランド」は有名です。
日本の農産物は日本で作られているというだけで国際競争力があるのです。

ただし、震災のせいで東北地方のブランド力は下がってしまったので、東北で農業をする場合には東北地方ということは前面に出さない方が良いでしょう。

 

逆に、日本国内ではそれほど人気のない千葉産の野菜などは「成田空港に近く新鮮な日本の野菜を即日出荷できる」ということを前面に押し出せば、海外にすんでいる人(たとえば、中国に住んでいる日本人や富裕層)への強力なアピールとなります。

 

ブランド力をあげる3つ目の方法は、最初から海外で販売されることを念頭に置いてネーミングを決めるということです。

 

日本人にとっては魅力的な名前でも、外国の人が聞いたら変な名前の商品というものは意外とあります。したがって、名前を決定する前に外国人の意見をもらっておくとよいでしょう。

 

この他にもブランド力をあげる方法はいろいろありますが、とりあえずこの辺にしておきます。

 

日本で既に成功している苺や和牛、さくらんぼなどの事例を研究して、あなたの力で農業を盛り上げてください。