専用実施権の設定についてちょっと納得出来ない点【意匠法第27条第1項】

甲の登録意匠イが当該意匠登録出願前の出願にかかる乙の特許発明を利用するものである場合でも、甲は乙の許諾を得ることなく丙にイにかかる意匠権についての専用実施権の設定をすることが出来ます。根拠は意匠法第27条1項と「禁止規定がない」からです。

でも、これ専用実施権の設定を受ける丙さんは困ってしまいますよね。せっかく専用実施権を設定してもらっても安心して実施出来ませんから。

こんなことを避けるために、専用実施権の設定自体を禁止してほしいところですが、意匠権者に登録意匠が利用抵触関係にあるかどうかを調べる手間がかかり、もしこれを認めないと専用実施権の設定後に「やっぱなし」ということになってしまってそちらのほうが被害が大きいから「できる」ことになっているのかなと思っています。

でも、2以上の者に排他権が成立することになり関連意匠の制度趣旨に反するからという理由で基礎意匠イと関連意匠ロの意匠権者は意匠イのみについて専用実施権を設定することは出来ませんが(意匠法27条第1項但書)、冒頭のような場合に専用実施権の設定を受けた専用実施権者に迷惑がかかるのはOKというのが納得しづらいです。