*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。
イソジン記事第4弾です。
明治と「イソジン」商標保持者ムンディファーマがお互いが争い合う訴訟合戦が起きていたのですが、この争いが和解という方法で一応の終結に至りました。
過去記事で書いたように、訴訟で争ったら明治が勝つと私は考えていたのですが、結局和解になったので勝敗はわからずじまいです。最後まで争ってほしかった気もします。
今後同じような争いが起きたときに指針となりますから。
和解は、ムンディファーマ側がパッケージのデザインを変更するということで成立したようです。
ということは、実質明治の勝利なのではないかなと思いますが、ムンディ側としては納得いかない部分もあると思います。
確かに知的財産権法的には明治に分があるので私は明治が勝つだろうと予想していたのですが、ライセンスビジネスの場合は、事前にいろいろと取り決めをしておくものです。
それ如何によってはムンディファーマの方が勝つことも出来たはずです。
ただ、そのような取り決めをしっかりとしていなかった場合、「その知的財産権を育てた者」に有利になると思います。
明治は「カバくん」の商標を「イソジン」と一緒に使っていましたが、「カバくん」の商標も「イソジン」の商標も育てたのは明治ですから、争った場合には裁判所では明治に有利な結果になるでしょう。
それにしても、ライセンスビジネスの難しさを改めて感じました。
特に外資系とのライセンスは一方的に打ち切られてしまうような非情な終わり方が散見され、ビジネスにも人情を持ち込む日本人には耐えがたいことでしょう。
ムンディファーマも、「イソジン うがい薬」は商標に魅力があっただけで売れたわけではなく、明治の広告・営業努力(およびカバくんの魅力)があったからこそ人気がでたという事実をしっかり認識すべきだったと思います。
これからライセンスビジネスを考えている方は、この事例に学び、契約締結前には万全の備えをしてください。
特に相手方が提示してきた契約書は簡単にサインをしてはいけません。ほぼ必ず相手側に有利な契約書になっているので、しっかり読み込んだうえでサインをしてください。
契約書を読み解く力が自分にはないと考えたら詳しい人に読んでもらうと後で泣かずに済むでしょう。
「乙(あなただとします)の創作したキャラクター等の著作権及び商標権は全て甲(契約書を提示してきた相手)のものとする」なんて無茶苦茶なことが書いてある契約書にサインをしてしまったら、大変です。
明治だったら「カバくん」も奪われることになってしまうんですからその経済的損失は計り知れません。
くれぐれもライセンス契約締結時にはお気をつけて・・・。