*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事と同じです。実際に描かれたのは2年ほど前です。リンクを下さっていた方はこのブログのアドレスに設定し直してくださると助かります。
不正に改造したiPhoneをオークションで販売した24歳の男が商標法違反の容疑で逮捕されたというニュースが話題になっています。
逮捕された池田容疑者は、iPhoneのiOSを不正改造したiPhone端末5台をオークションサイトで販売していました。
この逮捕のニュースを聞いて、「マジで!?ネットには脱獄は違法じゃないって書いてあったんだけど!なんで?!」と驚きを隠せない人もいることでしょう。
ネット上には嘘の情報や出典の明らかでない怪しい情報が多いので偽情報に惑わされている人もたくさんいることと思います。
そこで、一応知的財産権法の専門家である私が脱獄の違法性について説明してみたいと思います。
まず、そもそも「脱獄」とは何ぞやということですが、脱獄(JailBreak)とは、iPhoneの機能のロックを解除して、非公式アプリを動作を可能にするなどいろいろなことを出来るようにすることです。
公式のアップルストアからではなく、非公式なアップルストアから高機能だったり面白いアプリを入手できるので、友達に見せると、「お前のiPhoneすげーな。カスタマイズしてんの?かっけー」と羨望のまなざしで見られる可能性がありますし、「お前のiPhoneアンドロイドみたいな」の一言で済んでしまう可能性もあります。
まあそんなことはどうでもよく、このように脱獄という改造をしてしまうと、appleとの契約に違反したことになり、修理期間中であろうがサポートを受けられなくなってしまいます。
では、違法性についてはどうでしょうか。
iPhoneを不正に(appleの望まない形での)改造をしてしまう行為は違法なのでしょうか。
結論から言うと、”自分で自分が利用するために脱獄する”なら問題はありません。
購入したCDの曲を自分や家族のために携帯端末で聞けるようにする行為が「個人的使用」となり違法性を問われないのと同じです。
「壊れたら助けてやらないけど所有権はそっちにあるんだし勝手にしていいよ。っていうか、こっちとしては止めてほしいけどやめさせられないんだ・・・」というのがapple側の意見でしょう。
では、今回池田容疑者が逮捕されてしまったのはなぜなのでしょうか。
その理由は、まず、個人使用の範囲を超えて「業として」販売してしまったことが理由に挙げられます。
個人で自己責任でやる分には何をしてもいいのですが、不正改造iPhoneをiPhoneとして売ってしまうことは商標権の侵害に当たります(商標法25条、同37条)。
また、改造の程度によってはappleの保有する特許権を侵害する可能性もあるので、特許権の侵害となってしまうこともあるでしょう。
iPhoneを買ってきてそのまま転売するという行為は通常の商慣行であり何ら違法性はないのですが、ロゴや製品に手を加えて再販売することは知的財産権(この場合は商標権や特許権)の侵害となってしまうのです。
著作権の侵害になることはありません。
ですから、「著作権の侵害ではないから違法性は無い」という情報を得て、「やったー!iPhoneを改造して転売してもOKなんだ。売って儲けてやれ♪」と池田容疑者は考えたのではないでしょうか。
著作権の侵害とはならなくても、商標法や特許法や不正競争防止法など様々な他の法律を侵害してしまう可能性があるので、改造品をオークションで販売するような行為は絶対にやめるべきです。
ただし、ジェイルブレイク(脱獄)をしてプリズンブレイクをしてみたい人の試みは敢えて止めはしませんのでご自由にどうぞ。