*この記事は旧ブログ「問題解決中」の記事です。実際に書かれたのは2年ほど前です。
カラオケ機の考案者である井上大佑氏の名前を5日ほど前の新聞で見かけました。
「カラオケを創った男」という著作権に関する架空の投資話、つまり著作権の詐欺事件がまた世間を賑わしているようです。
5年ほど前に話題に上りましたがまたニュースになっていました。
この「カラオケを創った男」という著作権 という言葉は、私には理解出来ません。
法律的に正しい言葉ではないからです。
「カラオケの発明に関する著作権を購入して配当を受ける」という文言も、専門家が見れば首をかしげるような表記です。
専門家でなくても最低限の知的財産に関する知識のある人なら、こんなこと出来るわけがないとわかります。
まず、大前提として、著作権はアイデアに与えられるものではありません。
「具体的に表現されたもの」に自然に発生するものです。
したがって、著作権を取得するために文化庁へ登録する必要はありません(著作権は登録しないといけませんという詐欺もあります)。また、「カラオケを人に歌わせる」というアイデアに著作権など発生しません。
アイデアを保護して欲しい場合は、特許庁へ特許出願を行い、審査を経て特許権を取得する必要があります。
ここで、「発明」と認められるためには、「自然法則を利用した技術的思想(特許法2条1項)」でなければいけません。
ですから、「カラオケの機械」なら特許権を取得出来ますが、「カラオケを人に歌わせるというアイデア」に関しては、特許を取れません(ビジネスモデル特許というものが存在しますが、コンピュータを利用していないといけないので同じく「カラオケを人に歌わせる」というアイデアでは特許を取れません)。
詐欺に引っかからないためにも当然の知識として著作権と特許権の違いは知っておいてください。