コロナウイルスの影響で各種イベントは軒並み中止になっていますが、特許庁は、我が国政府や外国知財庁の対応を注視しているものの、新型コロナウイルス感染は地震や台風等の自然災害とは違って通信インフラに直接的な影響を及ぼすものでないため、今のところ、中間手続に係る応答期間の一律延長等をすることは予定していない、また、新型コロナウイルスに関して周知する予定もないそうです。
厳しい!
今日ウェブ会議システムを使ったら何度も切断されてしまい、通信インフラに直接的に影響が起きているような気がしないでもないのですが、こちら側だけの問題なのでしょうか・・・。
地震や台風のような天災地変だけでなく、今回のパンデミックは「その責めに帰することができない理由」なのではないかと思った人は多いのではないでしょうか。
場合によっては弁理士試験自体も延期や中止になるのではないか(さらには弁理士試験に申し込んだ者は短答試験に無条件合格では)ということも妄想されるほどの状態において「その責めに帰することができない理由」が認められないのは・・・、仕方がないことなのでしょう。
ところで、先程出現した「その責めに帰することができない理由」という言葉ですが、これは弁理士試験でも頻発するキーワードです。
そこで、やる気が下がりがちな弁理士試験受験生のために「その責めに帰することができない理由」についての説明を書いてみます。
と思いましたが、説明も何も青本(特許法逐条解説第20版))に書いてありましたね。352ページです。
その責めに帰することができない理由
天災地変のような客観的な理由にもとづいて手続をすることができない場合が含まれるのはいうまでもないこととして、通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしても、なお納付期間を徒過せざるを得なかったような場合は、主観的な理由による場合であってもその責めに帰することができない場合に含まれよう。
続いて「正当な理由」についても学習しておきましょう。138ページです。
正当な理由
PLT12条(1)の「DueCare」に相当するものであり、特許法121条(拒絶査定不服審判)等に規定された「その責めに帰することができない理由」より広い概念を意味するものである。例えば、出願人が病気で入院したことにより手続期間を徒過した場合や出願人の使用していた期間管理システムのプログラムに出願人が発見不可能な不備があったことにより手続期間を徒過した場合等が「正当な理由」があるときにあたる可能性が高いと言えよう。
なお、「責めに帰することができない理由」が使われている条文は、新規性喪失の例外の証明書提出期間(特許法30条4項)やパリ条約の優先権主張の手続期間(特許法43条7項)の他、出願分割の期間や出願変更の期間、存続期間の延長登録の手続期間、第1年から第3年までの特許料の納付期間、拒絶査定不服審判の請求期間などがあります。
「正当な理由」が使われている条文は、外国語書面の翻訳文提出期間(特許法36条の2第6項)や国内優先権の優先期間(特許法41条1項1号)、審査請求期間、特許料の追納期間などがあります。