弁理士試験の論文の勉強をしているときによく見かける言葉に「公平」と「衡平」というものがあります。「衡平」は日常ではあまり遭遇しない漢字です。
どちらも読みは「こうへい」です。

公平・衡平だけでなく、考量・衡量・考慮も似たような読み方をするので紛らわしいです。

でも、使い分けた方が心証的に良いでしょう(どれを書いても減点されることはないとは思いますが)。

使い分けられるようになるには、「衡」という字の意味をきちんと意味を理解しておかなければいけません。

 

その昔、私が弁理士試験受験生だった頃に、法学部出身の友達に

 

「論文を書くときに衡平と公平ってどっちでもいいの?」と尋ねたところ、

 

「衡平はつり合いが取れているということ。公平は同じように扱うこと」
とズバリ一言で教えてもらって感動した記憶があります。

 

その感動を伝えようと、別の友達に

 

「衡平っていうのはね、バランスが取れているということなんだよ。つまりね、ロマサガ2の槍技の活殺獣神衡というのは槍でバランスをとっているということなんだね」

と説明したところ、

 

「余計わかんねーよ」と切り捨てられました。

槍技くらいしっかり覚えていられないんでしょうかね。この人。←(いや、福田がバカなのだよ)

 

さて、マニアックな話を書いても理解は一向に深まらないのでもう少しわかりやすく説明しておきます。

 

たとえば、ここにバナナとリンゴが2個ずつあるとします。

 
公平の観点からこれを二人の人で分ける場合、それぞれバナナとリンゴを一つずつ食べられることになります。

 

しかし、私はバナナよりもリンゴの方が好きなので、一つずつ貰うよりはリンゴを二個欲しいと思いますし、娘はリンゴよりもバナナが好きなのでバナナを二つ欲しいと思うでしょう。

そこで、リンゴを二つとも私がもらい、バナナは二つとも娘が貰うというのが衡平な分け方です。

 

ようするに、「公平」とは、等しく(同じように)扱うことであり、「衡平」とは、扱い方は違うけれど妥当でバランスが取れているということです。
バナナよりリンゴの方が高いんじゃないの?と思っても、バナナを貰う側が納得していれば妥当なのでしょう。

 

知的財産権絡みで考えると、たとえば、商標権者の商標登録出願前から当該商標と同一または類似の商標を同一または類似の指定商品等に使用していた者には先使用権が認められますが(商標法32条)、これは未登録であっても周知になっている商標には業務上の信用が化体しているため、その信用を保護しなければ「公平」の原則に反するため、
というのが32条の趣旨です。

 

「業務上の信用」を一律「公平」に保護するんですね。

 

一方、権利濫用の抗弁のところでは「衡平の理念」を理由づけに使っていましたね。
特許権者に不当な利益を与え、発明実施者に不当な不利益を与えるので「衡平」の理念に反する・・・というやつです。

 

こうして見ると、日常生活では両者を厳密に区別する必要はなさそうですが、試験では使い分けた方が良いかもしれませんね。

 

使い分けが微妙な場合も多々あるので悩むところですが。

 

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